クロカン四駆にフルバケットシートは必要か?
「人馬一体」という言葉をよくクロカンのシーンでは耳にすることがあります。
僕はランクルでしかクロカンをしたことがない、生粋のランクル乗りだと思っているのだが、たまにリーフのジムニーや三菱ジープなどに乗らせてもらうとビックリすることがある。
これらのクルマは基本的にランクルより小さいクルマなので、地形の高低差などの影響をランクルよりはより受けやすい・・・というような当たり前のことではなく、
地形から伝わってくるインフォメーション(情報量)が圧倒的にランクルより多いことで驚くのだ。
僕は最初、ランクル60でクロカンを始めたが、「もっと戦闘力の高いクロカン車が欲しい」「ステーションワゴンは要らなくなった」などの理由で、ランクル70短に乗り換えました。
乗り換えた当時思ったのが、ホイルベースが短くなったことで、同じ斜面を登る際にもクルマの前後の傾き(ピッチング piching)が大きいのでビックリしたものだ。
また、ランクル60に比べ、ボンネットの先端が絞られているので、より死角が少ないことや、運転席に座ったとき、ドアの高さが低いので下方向への視界が広く、「ロクマルより運転席で得られる情報量が多いな!」と感動したものだ。
これはランクル60と70短での比較でしかないのだが、後になってランクル40に乗ってみたら、70よりさらに短く細くなったボンネットや、振動などが伝 わりやすいコックピットなどの影響もあって、さらに運転席で得られる情報量が多いことに驚かされたし、何より「地形からの情報がハンドルやシート、アクセ ルペダルなどを通じてものすごくダイレクトにドライバーに伝わる」ということに驚かされた。
さらに三菱ジープに乗ったら、リアボディなどが低く小さいことで後方下部の視界が極めて広いことや、40系よりさらに多くの情報が得やすい運転席に驚いた。
それがさらに小さい前後リーフ時代のジムニーに乗ったときは・・・
正直「なんじゃこりゃ!」って思いましたね。
そういうことがあるので、僕は「ジムニーに乗ったらより腕が磨かれる」ということを聞くと「そりゃ、違うだろう?!」って思うのです。
だって、ジムニーやジープなどに比べると、圧倒的に70系などは地形から得られる情報量が少なく、人馬一体感を得られることが難しくなるわけだし、
それがフルサイズのランクル60系や、コイルになった80系やサファリY60やY61などになると更に更に得られる情報量が希薄になるので、ジムニーやジープとはまた違った難しさが存在するからだ。
■インフォメーションが希薄なクルマで人馬一体感を得るには?
今でこそそれほどでもないのだが、僕は極めて負けず嫌いな性格だったので若い頃は「クロカンで誰にも負けたくない」という想いが非常に強かった。
だが、ほかの人と比べると圧倒的に貧乏だったので、改造でお金をかける余力もない。
そこで考えたのが、「運転席で得られる情報量を可能な限り大きくしてやろう」というものだった。
その一環で行なったのが「フルバケットシートの導入」。
それと「内装の撤去」、「タイヤハウス内のカット」、「(クロカン時に)左右のドアを外せるようにする」という改造だった。
バケットシートは確か4万ほどした?のだったが、左右のドアが外せる加工は、材料費で1000円ほどしか掛かっていないので、個人的には極めて安くあがっていると思うのだが、極めて有効な改造だったと思っています。
特に劇的だったのは「運転席側のドアを外す」ということだったのだが、これについてはまた別の機会で話をするとして、今回は「フルバケットシートを導入した結果どうなったか?」ということについてお話したいと思います。
※ちなみに、今からちょうど10年ほど前に、当時のレポートが残されていたので一応、こちらでもご紹介しておきます。
>ほのぼの系クロカン(自分流悪路走破考察より)
>フルバケットシート(自分流悪路走破考察より)
※当時、勘違いしてサイドサポートのことをランバーサポートと言っております。実際はサイドサポートのことなのでご了承願います
■フルバケットシート必要論
必要論というと強すぎる言い方かもしれないのだが、一応、僕はこんな風に思っているということをお聞きいただきたいと思います。
10年前のレポートに、当時、導入を決めた理由を詳しく載せているのでそちらも見ていただきたいのだが、
今回は、15年以上フルバケットシートでクロカンしてきてどう思うのか?ということを書いてみたいと思います。
先ほど「人馬一体感を得るためにはフルバケットシートは必要」みたいなことを書いたのだが、初心者のうちは別段必要じゃないかも?と思ってます。
というのも、うちのJr.にクロカン(というか普通の運転の基礎の基礎)を教える際に使ったクルマは、奥さんのBJ74Vで、そちらのシートは純正シートだったからです。
僕が今使っているBRIDEのフルバケが気に入っているのは、なによりも非常に高いサイドサポートがあるからだ。
ちょっとシート形状は違うが、これでいうと”4”の部分、つまり太ももを左右で押さえているのがサイドサポートだ。
シート形状の中で僕が最も重視しているのがこのサイドサポートの形状や高さだ。
僕の運転するときのポジションは、左右の太ももをこのサイドサポートに内側から外に向けて押し付けることで腰や足先の位置を固定させています。
四駆によるクロカン、特に重量級ディーゼル車のクローリング主体のクロカンの場合、高速走行による過大な横Gなどはかからないのだが、
より起伏の大きな地形を移動させるため、ドライバーにかかる重力の向きは非常に変化します。
■より正確な操作をするためのフルバケットシート
これは普段、ノーマルシートやサイドサポートの低いクルマでクロカンをしていて、僕のクルマについているようなフルバケットシートに乗ってみたらすぐ気がつくと思うのだが、
クルマが派手に揺らされる時や、クルマが40度ほども傾いた時などにもそれほど苦労することなく、アクセル操作やブレーキ操作、クラッチ操作が出来ることだ。
逆に言うと、ちょっとした揺れや傾きで腰がシートの上でズレたり、足先が揺らされたりするクルマで、自分が思ったような操作ができるはずがないのだ。
「いや、思ったように操作していますよ」って言う方がおられるかもしれないが、それはたまたま今はうまくいっているだけで、よくよく見てみると、クルマが勝手に走ってくれていただけというようなお粗末なことも珍しくないんじゃないかと思っています。
ランクルの様なディーゼル車の場合は特にこのような体 勢になると移動速度を極限まで落とし、微妙な操作やシートなどから伝わってくるタイヤのグリップしている様子や車の挙動変化などに神経を張り巡らせている 場合が多いので、自然と傾いたまま停止・・・みたいなことも多くなる
試しにクロカンをしてる最中に、左右の足先が車が揺れている最中、どのように揺らされているか見てみるといい。
足元は視界に入らないということもあるので見てみるとギョッとするかもしれないが、結構な勢いで前後左右上下に揺らされていることが分かると思う。
中には「左足で踏ん張って体を固定しているんだ」って人もおられるかもしれない(特にAT車の場合は)。
だが、僕はAT車を操作するときは大体、左足ブレーキを使っているし、
ましてや自車がMT車でクラッチを終始使わねばならない車の場合、クラッチを操作しながら、右足はブレーキやアクセルペダルを操作するって状況は極めて多いので、「左足で踏ん張るからホールドの良いシートは不要」という論は破綻していると感じる。
これはフルバケの話からは若干逸れるのだが、僕が揺らされるヒルクライムなどでアクセル操作に集中したい場合は、アクセルペダルの右手前にあるロールバーに右足のふくらはぎを押し付けて、足首の操作でアクセルの微妙な調節をすることがある。
つまり、膝を左右に広げ、サイドサポートを内側から押し広げることで体全体を固定し、それでも揺れる足先はロールバーに押し付けることで固定しているわけです。
■より多くのインフォメーションを得るためのフルバケットシート
例えばF1やツーリングカー選手権などに出ている競争車などで運転席の中で体が自由に動かせるようなクルマってあるだろうか。
まずありえないだろう。
これはマンガの中や映像でしか見たことがないのだが、例えばF1などではコクピットの中でピクリとも動くことが出来ないくらいガッチリとホールドさせるのだそうだ。
ただ、”クロカン”となるとそこまで強く運転手をシートに拘束してしまうと、乗降性に悪影響が出るし、運転席に乗ったまま、上半身だけクルマの外に突き出したり後ろを振り向いたりして運転席からの死角をなくす動作などが出来なくなるので逆効果になるのだが、
それでも僕はなるべくしっかりホールドしてくれるシートの方が特に外からのインフォメーションが弱いクルマに乗っている人にとっては重要度が増すと思っています。
■操る楽しさを教えてくれるフルバケットシート
先ほどから「人馬一体」というキーワードを使っていますが、この「人馬一体」を体現している人の操作を外から見ていて感動することがあります。
タイヤの4本、全てに神経が張り巡らされているかのようなクルマの操作、
ボディの端を正確に掴んだ繊細な操作・・。
それをランクル60とか80などのフルサイズで行なっている人の走りを見ると鳥肌が立つことがありますね。
自分の場合はまだ当然極めるという域には至ってませんが、それでもランクル70系に乗っている人の中では車両感覚が掴めている方だと思っているし、思い通り操作することも得意な方に属しているという自信はあります。
僕が走り込みを重視したことを言うのも、よりカンタンな地形での走り込みをオススメするのも、結局のところ「人馬一体感を得ることを優先することで、クル マの損耗も抑える走りが出来るようになることや、クルマの操作が奥深いことを体験してもらうことで飽きの来ないクロカンを覚えてもらいたいから」ですね。
クロカンの上級者や先輩などから「クロカンは”腰”でするものや!」というようなことを聞いたことはないだろうか?
これについては僕も同感なのだが、腰や太もも、背中にかけてシートと密着した処を通して地形からクルマに伝わってくる情報をクルマの操作に反映させるという意味だと思う。
タイヤから伝わってくるトラクションを感じながら、トラクションが抜け始めたらアクセルを緩めてみてグリップが回復するところまでタイヤの回転数を落としてみたり、
もっとタイヤの回転数を落としたい場合はクラッチやブレーキで落としたり・・・
逆に細かいアクセル操作でトラクションを得てみたり・・・
そんな風に地形と相談しながら自分が思ったようにクルマを操作し、イメージしたとおりにクルマが動いてくれる時が自分にとっては至福の時ですね。
■安全面で一枚上手のフルバケットシート
僕は普段のクロカン時には4点式シートベルトの腰の部分だけを止めて、肩のベルトは外しているのだが、
理由としては、「上半身を自由に動くようにしておきたい」ということがあります。
先ほどもちょっと言いましたが、運転席からの死角をいかに減らすか?ということは非常に重要なことだと思っています。
そこで僕の場合は運転席のドアを外したり、タイヤハウスの中をぶった切って、運転席から直接タイヤが見えるようにしてみたりと色々と手をうっている。
運転席からちょっと右に体を傾けた状態で見ることが出来る風景
上側がフロントタイヤとフロントタイヤと接している地面の様子
下側はリアタイヤとリアタイヤが接している地面の様子だ
純正の3点式シートベルトが嫌いなのは、肩から腰にかけて斜めにベルトが通るというのと、傾いた状態ではシートベルトが引っ張り出せないのでシートベルトが出来ないことがあるからという理由があります。
まぁ、シートベルトはある程度引っ張り出した状態で止めておくことも可能なので、斜面で停ったからといってシートベルトを使えませんってわけじゃありませんが、それでもあの斜めのベルトが邪魔なんです(笑)
中には「4点式シートベルトだからといって、腰のところだけ止めていても危険だろう?」って思うかもしれませんが、
本当に転倒しそうなら運転席に座ったまま、肩のベルトも付けますし、また非常にホールド性の高いシートのお陰で、腰だけ止めていても転倒時に体が運転席の外に出てしまうこともほとんど考えられない。
それはそうですよね。
コの字型のシートに上から蓋をするようなものなので、腰がシートから離れることはまずありえないからです。
(※まぁ、重量級のクロカン車の場合、谷底に転げ落ちるような危険なルートは走らない方がいいとは思いますけどね・・)
ちなみに僕が以前、4/4回転したときは、腰だけで止めていたのだが、転倒時にハンドルに両手をかけていた腕を伸ばし、シートに体を押し付ける体勢にしていたため、一回転しても問題ありませんでした。
それ以降も、軽く寄りかかったということも含めたら10回以上は転倒してますが、転倒体勢(つまり受身)を取ることはバッチリなので、もちろん怪我したことは一度もありません。
このように安全性の面でいうと、セミバケットやノーマルシートと比べてフルバケが一枚上手だと思いますネ。
■キャンバー走行で強いフルバケットシート
スピードを出す競技車両になくて、クロカン車でよくあるのが「クルマを横方向や縦方向に大きく傾けたままの姿勢を長時間続ける」ことがある点です。
僕は特にキャンバー走行が大好きなので、より安定してキャンバーを攻めたいと思っているのだが、このキャンバー走行中に非常に大きなサイドサポートがあるフルバケットシートは非常に強い味方になってくれる。
クルマが横に30度ほども傾くと、サイドサポートが貧弱なシートではどんどんシートの座面からお尻の位置がズレてしまいます。
それも1分や2分なら頑張って持ちこたえれるかもしれませんが、そんな状態で正確な運転操作が出来るかは非常に疑問ですよね。
岡山近辺ではあまり見かけなくなりましたが、以前は非常に長いV字溝を通過させるのに長くなると何時間も20度以上傾いた運転席に座っているってことがありましたが、さすがにそこまで長時間、傾いた運転席に座りっぱなしということは減ってきましたね。
ですが、非常に難易度の低いコースなどを走っていてつまらない場合などは積極的にコースの側面の斜面などを使って、クルマを傾けて遊んだりしますが、このような遊びがし易いクルマなら、より飽きずにクロカンを続けれるんじゃないかと思いますね。
■一枚上手のクロカニストを目指すのであれば・・
僕はフルバケットシートの導入をオススメしたいと思います。特に重量級のクルマは。
まず、なにより運転が楽しくなると思います。
あと、フルバケットシートにしてもリジット型(一体型)のものと、僕が使っているようなリクライニング可能型があったり、
シートの材質もファブリックなどの布製のもの、人工革のもの、ビニール製など非常に多く存在します。
また、一部の競技車両などでみかける、クッション材がほとんど入っていない、低反発素材でオーダーメイドみたいな形で作られている高級シートなどいろいろ存在するみたいです。
セミバケットシートも含め、好みの問題などもあるので一概に僕と同じ考えを持つ必要はないと思うのですが、
クロカンの現場などで見かけるクルマなどにシートなどに座らせてもらったり、店頭などに置かれているシートなどに座ってみたりいろいろしてみて、
気に入ったものを手に入れてもいいんじゃないかと思います。
また、あまり見かけたことはありませんが、純正シートにサイドサポートなどを付けてみるということなども有効な改造かもしれませんよ。
僕はランクルでしかクロカンをしたことがない、生粋のランクル乗りだと思っているのだが、たまにリーフのジムニーや三菱ジープなどに乗らせてもらうとビックリすることがある。
これらのクルマは基本的にランクルより小さいクルマなので、地形の高低差などの影響をランクルよりはより受けやすい・・・というような当たり前のことではなく、
地形から伝わってくるインフォメーション(情報量)が圧倒的にランクルより多いことで驚くのだ。
僕は最初、ランクル60でクロカンを始めたが、「もっと戦闘力の高いクロカン車が欲しい」「ステーションワゴンは要らなくなった」などの理由で、ランクル70短に乗り換えました。
乗り換えた当時思ったのが、ホイルベースが短くなったことで、同じ斜面を登る際にもクルマの前後の傾き(ピッチング piching)が大きいのでビックリしたものだ。
また、ランクル60に比べ、ボンネットの先端が絞られているので、より死角が少ないことや、運転席に座ったとき、ドアの高さが低いので下方向への視界が広く、「ロクマルより運転席で得られる情報量が多いな!」と感動したものだ。
これはランクル60と70短での比較でしかないのだが、後になってランクル40に乗ってみたら、70よりさらに短く細くなったボンネットや、振動などが伝 わりやすいコックピットなどの影響もあって、さらに運転席で得られる情報量が多いことに驚かされたし、何より「地形からの情報がハンドルやシート、アクセ ルペダルなどを通じてものすごくダイレクトにドライバーに伝わる」ということに驚かされた。
さらに三菱ジープに乗ったら、リアボディなどが低く小さいことで後方下部の視界が極めて広いことや、40系よりさらに多くの情報が得やすい運転席に驚いた。
それがさらに小さい前後リーフ時代のジムニーに乗ったときは・・・
正直「なんじゃこりゃ!」って思いましたね。
そういうことがあるので、僕は「ジムニーに乗ったらより腕が磨かれる」ということを聞くと「そりゃ、違うだろう?!」って思うのです。
だって、ジムニーやジープなどに比べると、圧倒的に70系などは地形から得られる情報量が少なく、人馬一体感を得られることが難しくなるわけだし、
それがフルサイズのランクル60系や、コイルになった80系やサファリY60やY61などになると更に更に得られる情報量が希薄になるので、ジムニーやジープとはまた違った難しさが存在するからだ。
■インフォメーションが希薄なクルマで人馬一体感を得るには?
今でこそそれほどでもないのだが、僕は極めて負けず嫌いな性格だったので若い頃は「クロカンで誰にも負けたくない」という想いが非常に強かった。
だが、ほかの人と比べると圧倒的に貧乏だったので、改造でお金をかける余力もない。
そこで考えたのが、「運転席で得られる情報量を可能な限り大きくしてやろう」というものだった。
その一環で行なったのが「フルバケットシートの導入」。
それと「内装の撤去」、「タイヤハウス内のカット」、「(クロカン時に)左右のドアを外せるようにする」という改造だった。
バケットシートは確か4万ほどした?のだったが、左右のドアが外せる加工は、材料費で1000円ほどしか掛かっていないので、個人的には極めて安くあがっていると思うのだが、極めて有効な改造だったと思っています。
特に劇的だったのは「運転席側のドアを外す」ということだったのだが、これについてはまた別の機会で話をするとして、今回は「フルバケットシートを導入した結果どうなったか?」ということについてお話したいと思います。
※ちなみに、今からちょうど10年ほど前に、当時のレポートが残されていたので一応、こちらでもご紹介しておきます。
>ほのぼの系クロカン(自分流悪路走破考察より)
>フルバケットシート(自分流悪路走破考察より)
※当時、勘違いしてサイドサポートのことをランバーサポートと言っております。実際はサイドサポートのことなのでご了承願います
■フルバケットシート必要論
必要論というと強すぎる言い方かもしれないのだが、一応、僕はこんな風に思っているということをお聞きいただきたいと思います。
10年前のレポートに、当時、導入を決めた理由を詳しく載せているのでそちらも見ていただきたいのだが、
今回は、15年以上フルバケットシートでクロカンしてきてどう思うのか?ということを書いてみたいと思います。
先ほど「人馬一体感を得るためにはフルバケットシートは必要」みたいなことを書いたのだが、初心者のうちは別段必要じゃないかも?と思ってます。
というのも、うちのJr.にクロカン(というか普通の運転の基礎の基礎)を教える際に使ったクルマは、奥さんのBJ74Vで、そちらのシートは純正シートだったからです。
僕が今使っているBRIDEのフルバケが気に入っているのは、なによりも非常に高いサイドサポートがあるからだ。
ちょっとシート形状は違うが、これでいうと”4”の部分、つまり太ももを左右で押さえているのがサイドサポートだ。
シート形状の中で僕が最も重視しているのがこのサイドサポートの形状や高さだ。
僕の運転するときのポジションは、左右の太ももをこのサイドサポートに内側から外に向けて押し付けることで腰や足先の位置を固定させています。
四駆によるクロカン、特に重量級ディーゼル車のクローリング主体のクロカンの場合、高速走行による過大な横Gなどはかからないのだが、
より起伏の大きな地形を移動させるため、ドライバーにかかる重力の向きは非常に変化します。
■より正確な操作をするためのフルバケットシート
これは普段、ノーマルシートやサイドサポートの低いクルマでクロカンをしていて、僕のクルマについているようなフルバケットシートに乗ってみたらすぐ気がつくと思うのだが、
クルマが派手に揺らされる時や、クルマが40度ほども傾いた時などにもそれほど苦労することなく、アクセル操作やブレーキ操作、クラッチ操作が出来ることだ。
逆に言うと、ちょっとした揺れや傾きで腰がシートの上でズレたり、足先が揺らされたりするクルマで、自分が思ったような操作ができるはずがないのだ。
「いや、思ったように操作していますよ」って言う方がおられるかもしれないが、それはたまたま今はうまくいっているだけで、よくよく見てみると、クルマが勝手に走ってくれていただけというようなお粗末なことも珍しくないんじゃないかと思っています。
ランクルの様なディーゼル車の場合は特にこのような体 勢になると移動速度を極限まで落とし、微妙な操作やシートなどから伝わってくるタイヤのグリップしている様子や車の挙動変化などに神経を張り巡らせている 場合が多いので、自然と傾いたまま停止・・・みたいなことも多くなる
試しにクロカンをしてる最中に、左右の足先が車が揺れている最中、どのように揺らされているか見てみるといい。
足元は視界に入らないということもあるので見てみるとギョッとするかもしれないが、結構な勢いで前後左右上下に揺らされていることが分かると思う。
中には「左足で踏ん張って体を固定しているんだ」って人もおられるかもしれない(特にAT車の場合は)。
だが、僕はAT車を操作するときは大体、左足ブレーキを使っているし、
ましてや自車がMT車でクラッチを終始使わねばならない車の場合、クラッチを操作しながら、右足はブレーキやアクセルペダルを操作するって状況は極めて多いので、「左足で踏ん張るからホールドの良いシートは不要」という論は破綻していると感じる。
これはフルバケの話からは若干逸れるのだが、僕が揺らされるヒルクライムなどでアクセル操作に集中したい場合は、アクセルペダルの右手前にあるロールバーに右足のふくらはぎを押し付けて、足首の操作でアクセルの微妙な調節をすることがある。
つまり、膝を左右に広げ、サイドサポートを内側から押し広げることで体全体を固定し、それでも揺れる足先はロールバーに押し付けることで固定しているわけです。
■より多くのインフォメーションを得るためのフルバケットシート
例えばF1やツーリングカー選手権などに出ている競争車などで運転席の中で体が自由に動かせるようなクルマってあるだろうか。
まずありえないだろう。
これはマンガの中や映像でしか見たことがないのだが、例えばF1などではコクピットの中でピクリとも動くことが出来ないくらいガッチリとホールドさせるのだそうだ。
ただ、”クロカン”となるとそこまで強く運転手をシートに拘束してしまうと、乗降性に悪影響が出るし、運転席に乗ったまま、上半身だけクルマの外に突き出したり後ろを振り向いたりして運転席からの死角をなくす動作などが出来なくなるので逆効果になるのだが、
それでも僕はなるべくしっかりホールドしてくれるシートの方が特に外からのインフォメーションが弱いクルマに乗っている人にとっては重要度が増すと思っています。
■操る楽しさを教えてくれるフルバケットシート
先ほどから「人馬一体」というキーワードを使っていますが、この「人馬一体」を体現している人の操作を外から見ていて感動することがあります。
タイヤの4本、全てに神経が張り巡らされているかのようなクルマの操作、
ボディの端を正確に掴んだ繊細な操作・・。
それをランクル60とか80などのフルサイズで行なっている人の走りを見ると鳥肌が立つことがありますね。
自分の場合はまだ当然極めるという域には至ってませんが、それでもランクル70系に乗っている人の中では車両感覚が掴めている方だと思っているし、思い通り操作することも得意な方に属しているという自信はあります。
僕が走り込みを重視したことを言うのも、よりカンタンな地形での走り込みをオススメするのも、結局のところ「人馬一体感を得ることを優先することで、クル マの損耗も抑える走りが出来るようになることや、クルマの操作が奥深いことを体験してもらうことで飽きの来ないクロカンを覚えてもらいたいから」ですね。
クロカンの上級者や先輩などから「クロカンは”腰”でするものや!」というようなことを聞いたことはないだろうか?
これについては僕も同感なのだが、腰や太もも、背中にかけてシートと密着した処を通して地形からクルマに伝わってくる情報をクルマの操作に反映させるという意味だと思う。
タイヤから伝わってくるトラクションを感じながら、トラクションが抜け始めたらアクセルを緩めてみてグリップが回復するところまでタイヤの回転数を落としてみたり、
もっとタイヤの回転数を落としたい場合はクラッチやブレーキで落としたり・・・
逆に細かいアクセル操作でトラクションを得てみたり・・・
そんな風に地形と相談しながら自分が思ったようにクルマを操作し、イメージしたとおりにクルマが動いてくれる時が自分にとっては至福の時ですね。
■安全面で一枚上手のフルバケットシート
僕は普段のクロカン時には4点式シートベルトの腰の部分だけを止めて、肩のベルトは外しているのだが、
理由としては、「上半身を自由に動くようにしておきたい」ということがあります。
先ほどもちょっと言いましたが、運転席からの死角をいかに減らすか?ということは非常に重要なことだと思っています。
そこで僕の場合は運転席のドアを外したり、タイヤハウスの中をぶった切って、運転席から直接タイヤが見えるようにしてみたりと色々と手をうっている。
運転席からちょっと右に体を傾けた状態で見ることが出来る風景
上側がフロントタイヤとフロントタイヤと接している地面の様子
下側はリアタイヤとリアタイヤが接している地面の様子だ
純正の3点式シートベルトが嫌いなのは、肩から腰にかけて斜めにベルトが通るというのと、傾いた状態ではシートベルトが引っ張り出せないのでシートベルトが出来ないことがあるからという理由があります。
まぁ、シートベルトはある程度引っ張り出した状態で止めておくことも可能なので、斜面で停ったからといってシートベルトを使えませんってわけじゃありませんが、それでもあの斜めのベルトが邪魔なんです(笑)
中には「4点式シートベルトだからといって、腰のところだけ止めていても危険だろう?」って思うかもしれませんが、
本当に転倒しそうなら運転席に座ったまま、肩のベルトも付けますし、また非常にホールド性の高いシートのお陰で、腰だけ止めていても転倒時に体が運転席の外に出てしまうこともほとんど考えられない。
それはそうですよね。
コの字型のシートに上から蓋をするようなものなので、腰がシートから離れることはまずありえないからです。
(※まぁ、重量級のクロカン車の場合、谷底に転げ落ちるような危険なルートは走らない方がいいとは思いますけどね・・)
ちなみに僕が以前、4/4回転したときは、腰だけで止めていたのだが、転倒時にハンドルに両手をかけていた腕を伸ばし、シートに体を押し付ける体勢にしていたため、一回転しても問題ありませんでした。
それ以降も、軽く寄りかかったということも含めたら10回以上は転倒してますが、転倒体勢(つまり受身)を取ることはバッチリなので、もちろん怪我したことは一度もありません。
このように安全性の面でいうと、セミバケットやノーマルシートと比べてフルバケが一枚上手だと思いますネ。
■キャンバー走行で強いフルバケットシート
スピードを出す競技車両になくて、クロカン車でよくあるのが「クルマを横方向や縦方向に大きく傾けたままの姿勢を長時間続ける」ことがある点です。
僕は特にキャンバー走行が大好きなので、より安定してキャンバーを攻めたいと思っているのだが、このキャンバー走行中に非常に大きなサイドサポートがあるフルバケットシートは非常に強い味方になってくれる。
クルマが横に30度ほども傾くと、サイドサポートが貧弱なシートではどんどんシートの座面からお尻の位置がズレてしまいます。
それも1分や2分なら頑張って持ちこたえれるかもしれませんが、そんな状態で正確な運転操作が出来るかは非常に疑問ですよね。
岡山近辺ではあまり見かけなくなりましたが、以前は非常に長いV字溝を通過させるのに長くなると何時間も20度以上傾いた運転席に座っているってことがありましたが、さすがにそこまで長時間、傾いた運転席に座りっぱなしということは減ってきましたね。
ですが、非常に難易度の低いコースなどを走っていてつまらない場合などは積極的にコースの側面の斜面などを使って、クルマを傾けて遊んだりしますが、このような遊びがし易いクルマなら、より飽きずにクロカンを続けれるんじゃないかと思いますね。
■一枚上手のクロカニストを目指すのであれば・・
僕はフルバケットシートの導入をオススメしたいと思います。特に重量級のクルマは。
まず、なにより運転が楽しくなると思います。
あと、フルバケットシートにしてもリジット型(一体型)のものと、僕が使っているようなリクライニング可能型があったり、
シートの材質もファブリックなどの布製のもの、人工革のもの、ビニール製など非常に多く存在します。
また、一部の競技車両などでみかける、クッション材がほとんど入っていない、低反発素材でオーダーメイドみたいな形で作られている高級シートなどいろいろ存在するみたいです。
セミバケットシートも含め、好みの問題などもあるので一概に僕と同じ考えを持つ必要はないと思うのですが、
クロカンの現場などで見かけるクルマなどにシートなどに座らせてもらったり、店頭などに置かれているシートなどに座ってみたりいろいろしてみて、
気に入ったものを手に入れてもいいんじゃないかと思います。
また、あまり見かけたことはありませんが、純正シートにサイドサポートなどを付けてみるということなども有効な改造かもしれませんよ。
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