この趣味をしていてよく思うのが、「ボディは綺麗なままで遊べないか?」ってことですね。
ヨンクを使ったクロカンという遊びは、他のモータースポーツと違いがあることが非常に多いのだが、ボディへの考え方も他のものと比べるとかなり違いがあるように思う。
例えば、峠を攻めている連中でボディがグチャグチャなままで攻めている人ってどのくらいいるのか?だが、まぁほとんどいないだろう。
(たまにバンパーが少しの衝撃ですぐ取れるようになっていたりはするみたいですけどね)
特に廃道アタックや、ヘビークロカンをしている車の大半が多かれ少なかれの凹みを作っているのを見ても、いかに四駆のクロカンという遊びがボディへのダメージを受けやすいかわかると思う。
僕も以前は、「ボディはバンパーの一部や」とか、「ボディは消耗品」くらいにしか考えてなかったし、「クロカンってボディが凹むもの」くらいにしか考えてなかったので、正直、ボディを痛めることに関しては何も考えていなかった。
ただ、今から5年ほど前、つまりクロカンを一時引退する少し前くらいから少しずつ考え方を変え、「なるべくボディを労わる走り方に変えてやろう」というものになってきている。
理由はいくつかあるのだが、そのうちの1つが「今までの凸凹なボディだと車検が通らなくなってきた」という理由。
もうひとつが、「やっぱりあまりにも見栄えが悪い」という当たり前の理由(笑)
今の僕の車の前半分のボディは前半分の部分を探すのが難しい位になっているのだが、リアのボディ側面にアルミの波板を張った時点で、フロントフェンダーを知り合いの車からもらってきた比較的凸凹の少ないものに交換、
ここからはなるべく凹まさない走りにしようということにしました。
今のところ、うちに転がっている帰国子女のランクル80はクロカン(それも廃道アタック)には使う予定はないのだが、もし使うのであればどうするか?というような視点で以下の記事を書いてみたいと思います。
■廃道アタックは楽しい
「廃道」にもいくつか定義があると思うのだが、ここで私が言うのは進入することに対して特に規制されているところではない場所や道ということにしておきます。
廃道アタックは楽しい。
僕も特にクロカンを始めた当初は、岡山県の南部にも進入出来る廃道が多く残っていたということもあって、よく友人と数台とか単独で「昔、道だった道」に突っ込んで行ってはハマったり延々とバックして遊んでいたものだ。
実は、長男が生まれる1日ほど前、会社の近所にあった山の中に廃道を見つけたので自分一台だけで突っ込んでみたことがあったのだが、
当時乗っていたランクル60にはウインチなどのレスキュー用品が全く無かったということもあるのだが、「ちょっと」のつもりが6時間も抜けるのにかかり、大汗が出たことがあった。
関係ない話だが、僕のオヤジはゴルフに狂っていた。
そして、僕が産まれた日にもゴルフをしてて帰ってこなかったそうなので、未だに僕に恨まれている。
「自分はそんな父親にはなりたくない」と思っていたので、無事に帰れたときは心底ホッとしたものだった。(あとになってごちゃごちゃ言われたくないし)
これは良くない例だが(汗)、まだ誰も轍をつけていないところに轍を残すのは楽しい。
■廃道アタックでの装備と車の仕様
”廃道アタック”というと、ジムニーの独壇場のように思われるかもしれないが、かれこれ20年近くランクルだけでクロカンをしている人間からしてみれば、ランクル等の重量級は重量級ならではの楽しさってのがあると思っています。
まず、重量級で廃道アタックをする際には装備にも気をつけねばならない。
普段持ち歩かないが、エンジンチェーンソーや草刈機、ツルハシやジョレン、クワなどの土木用道具、グランドアンカーや大ハンマー、溝や穴を塞ぐのに使うグレーチング(アルミラダー)。
あと、溶接用のケーブルと溶接棒、手袋やカバーなどもあると心強い。
ウインチやチルホール、ハイリフトジャッキなどはもちろん標準装備だ。
(重いチルの代わりに、8mくらいのチェンブロやハンドウインチなどで代用することも可能)
ジムニーなら数台に分乗させねば載らないような装備も一台で載せれてしまうのが、重量級ならではのメリットだ。
台数は2~3台がベスト。
スキルと装備、改造などが廃道向きになっていない者がついてくるのは邪魔になるので、そういう人(車)は、同乗者としての同行は許すが車を出すのは遠慮してもらう。
車の改造でいうと、ウインチは必須。
応用範囲の広さでいうとPTOより電動ウインチの方が望ましいのだが、めちゃくちゃドロドロの道を延々と引っ張らねばならないような時は、PTOウインチの持久力は捨てがたい魅力があることは間違いない。
ウインチがない車をどうしても同行させねばならない場合は、前後を経験値と戦闘力を兼ね揃えた車で挟むと良い。
(これはスノアタも同じですね)
車のプロテクションは基本的にガッツリしておいた方がいいが、車をヘコましても大丈夫という覚悟や経済力がある人なら問題なし。
コース主体の人があまりやってないことでいうと、腹下の強化ってのが結構重要。
リーフ車は元々腹下の強化が出来ている場合があるのだが、結構気をつけねばならないのはコイル車(もちろんハチマルも)
リーフの場合は、走破性を邪魔するリーフがタイロッドやショック、ブレーキホースなどを保護してくれる場合があるので、割と無改造でもゴリゴリとゴリ押し が出来るのだが、コイル車は、下に何が潜んでいるか分からない廃道では結構、細かい強化をしておくほうがよい場合がある。
例えば、フロントホーシングの前にむき出しの状態になっているドラックリンク。
アメ車などで改造している車を見てみると、ホーシングから保護するアームが伸びていたり、エンジンのオイルタンクの下にガードが出ていて、ドラックリンク周辺をガードしていることもあるので、それを見習ってガードを追加してみるとか。
ただ、ひとつ気をつけねばならないのが、ガードのやりすぎで重くし過ぎないこと。
どうしてもブツケて壊れてしまって困る部分だけ部分的に改造を施していった方が良い場合が多い。
あと、「タイヤをはみ出させるかどうか」についてだが、これについては色々な意見があると思うのだが、私はクロカン初心者のうちから派手にタイヤをはみ出させるのには反対だ。
■タイヤのサイズとオフセットは慎重に考えよう
車などによっても条件は少し違ってくるので、これは程度問題とかイロイロあるとは思うのだが、敢えて「ランクル」に限らせてもらって言わせてもらうと、70系と80系では明らかに70系の方が、「ハミタイ」(ハミ出しタイヤ)についての耐久性が劣っている。
これはそれぞれのノーマルボディ(オーバーフェンダーを付けていない状態)でのタイヤのオフセットを比べてみればわかるのだが、
ランクル70系が”0”なのに対して、80系が”+20”である。
つまり、ランクル70系に比べ、80系は元々20mm、ノーマルボディの側面に対してホーシングそのものが長いということが言える。
80系の脚回りのメンテなどをしているとよく思うのだが、細かいところで70系(前後リーフのPZJ/HZJ7*)に比べて進化しているなぁと思う点が多々ある。
先程のプラスオフセットの件もそうだし、フロントのブレーキホースの取り回しも、ランクル70系がドライブシャフトなどを外すとき、ブレーキホースも外してしまわねばならないところが、80系では取り外さなくても可能な点、
ホーシングについているドライブシャフトのシールも、70系のものより一回り大きいタイプのものが付いていたりするので、明らかに耐久性は上だと思われる。
(ちなみにリーフの70系でも、BJ系のものよりPZJ/HZJ系のものの方がシールが一回り大きいが、フロントコイルになった70系や80系の方がさらに大きい)
僕が、タイヤのオフセットについていろいろ言っているのは、車の耐久性についても極端に外に押し出しているのは不利だということもあるのだが、なんといってもウインチングなどで不利になることが多いからだ。
ちなみに、私は今のところ34吋のスワンパーを履くためにフロントタイヤに30mmのスペーサーをかませてフロントのトレッドを60mmほど拡大させているのだが、本来あまり好ましいことではなく、「仕方なくギリギリ広げれる処まで広げているだけ」という感じが強い。
確かに、トレッドのワイド化によりボディへのダメージは減る可能性が極めて高いのだが、安易にトレッドを広げてしまうと(特にフルサイズの80系などは)ただでさえ入れる処が少ないのに、さらに自分で自分の首を絞めかねないことが多いように感じる。
70系は基本的に4ナンバーサイズ(普通車では5ナンバーサイズ)のボディサイズなので、自分的には「ジムニーで入れる所なら自分の車でも押し通せる」くらいに思っているのだが、
さすがに80系やサファリのY60/Y61などでは、「う~む、ちょっと無理ちゃうか?」って思うような場所も珍しくない。
ただ、重量クラスのワイドトレッド車も、重心の低さや、ジムニーでは落としたら転倒してしまう溝や穴などでも安心して落とせる許容量の大きさみたいなもの もあるので、一概に「重量車だとかワイドトレッド車は廃道アタックが苦手」だとは思ってないのだが、ウインチングなどでワイドトレッド化が悪影響を及ぼす ことがある。
では、具体的にどんな時にウインチングなどで不利になるのか?というと、こんな時だ。
溝の底にフロントタイヤがある処からウインチで強引に前進させている動画ですが、巻き取り初めてすぐ、タイヤの向きが変わっているのがわかるだろうか。
これは右側のタイヤのある場所が、抵抗が強かったためタイヤが引っかかり、ワンダリング(?)でタイヤの向きが強引に変わっているのだが、
タイヤが引っかかりの強いスワンパーだという理由もあるのだろうが、やはり30mmのスペーサーでタイヤを外に出しているのが、この現象をより強くさせてしまっているように感じる。
考えてみればこれは当たり前のことで、ランクル70系はもともと先ほども言ったが、キングピンの中心軸が、タイヤの内側に寄っているので、ワイドタイヤを 履いたり、今回みたいに引っかかりが強く、さらにオフセットを外に押し出す(マイナスオフセット)スペーサーをつけたりすると、この現象が顕著になってし まうわけだ。
今回の動画の場合は、ウインチワイヤーを送り出しながらリバースに入れて前後にゆすることで、タイヤの向きを中立状態に直すことが出来たが、
パワステがあるからといって、ゴリゴリこじるようにステアリングを切っていたらいくら頑丈な操舵系を持つランクルと言えど、数年しかもたなくなってしまう。
現に僕の車も一度、ロッドのジョイントが壊れる現象を起こしたこともあり、据え切りや、ステアリングをこのような状態で無理にコジるような操作はしなくなったのだが、
34インチのスワンパーと30mmのスペーサーという、かなり廃道アタック用としては”控えめ”な僕の車であのくらい、ステアリングを引っ張られる状況が 起こるのであれば、さらに太いタイヤを履き、さらにタイヤの中心軸とキングピンとの軸との差が大きい車だとすさまじいワンダリング(地形にタイヤがひっか かり、そちらの方向にタイヤの向きが強制的に変えられる現象)が起こるんだろうなあ?と思う。
■ワイドトレッド化は慎重に
そういうわけで、特に廃道アタックでは、ハミタイというかワイドトレッド化は「そこそこ」が良いように感じる。
理由は先ほどもいったように、
1.ワイドトレッド化によって物理的に入れる場所が減ってしまう恐れがある
2.ウインチングで操舵系(特にキングピンベアリング)を痛める可能性がある
3.廃道の真ん中で、もし操舵系が壊れてしまうとかなり面倒
4.タイヤの大径化や重量化に伴い、CVやデフなど駆動系を壊す可能性が高くなる
このようなものがある。
もちろん、タイヤの大径化や重量増はCVジョイントやデフに過大な負担をかけてしまうので、山の真っ只中で「ベキッ!」と言わせてしまうと、自分もそうだが同行者にも迷惑をかけてしまうので、
コースなどを走るよりさらに「壊れ難い仕様」にしておくことをお勧めします。
私の車の場合は、前後ともオーバーフェンダーは付けてなくても警察に止められることはない(ほとんどハミ出してない)のだが、廃道をアタックしようというのであれば、もう少し外にタイヤを出しておきたい処だ。
というのも、後ろ半分はアルミの波板などを全面に貼り付けているので少々、地形に干渉してもどうということはないのだが、フロントフェンダー周りやドアは なんら補強やガードを入れてないのでもう少しタイヤを外に押し出し、干渉する可能性を減らしたいということもあるからだ。
■廃道アタックのボディの補強について
僕的に一番良い「補強」は、ランクル70系のように独立したフェンダーなどを持っている車の場合は、「廃道アタック用ボディ」を持っておくことだと思う。
僕の70幌の場合は、フェンダーの着脱が非常にカンタンになる工夫をしているので、「極めてイカツイ廃道」を攻めにいくのであれば、庭に転がっているボコボコのフェンダーに付け替えて行くだろうと思う。
当面、そんな予定はないので今の比較的綺麗なフェンダーで「なるべくブツけない運転」を心がけているのだが、
廃道アタック用の車であれば、最低でもボディの四隅はガッチリと補強し、ドアやサイドシル、前後バンパーは地形などに応じて強化していく、という感じがいいんじゃないか?と思っています。
これは余談かもしれないが、廃道などをガリガリとアタックする車ではウインチングなどの機会がすごく多いので、ボディの上に乗って移動するということも考えた作りをしておく必要もある。
たとえば、軽量化の代名詞みたいなFRPボンネットだが、廃道だけで考えると一概に良いことばかりではないことをご存知だろうか。
ウインチングをしている時を考えてもらえばわかるが、テンションを張ったワイヤーを避けて、車の後ろをグルッと回らねばならないことが非常に多いのだが、後ろがふさがれている場合、車の上を通って反対側に移動しなければならないことがある。
そのとき、運転席の中を通るのは極めて面倒なので、ボンネットの上を通って反対側に渡ることがあるのだが、このときFRPボンネットだと強度に不安があるので渡れないことがある。
(ジープなどフロントウインドを前に倒せる車はFRP化するとフロントウインドを倒せなくなるという理由がある場合も多い)
実際、私と同じ考えで敢えてFRP化を先送りしている人もいるということを覚えておいてもいいと思います。
あと、廃道アタックでいうのなら、有効な装備としては、ブッシュワイヤーやボンネット上部やフェンダー上部へ滑り止めの波板を貼る、というものがある。
ボンネットの先端からウインドーの上部に張られているワイヤーがブッシュワイヤー
私としてはパイプフェンダーなどをボディの外に張り巡らすことは、なんとなく大げさ過ぎるので好かないのだが、それを言うならアルミの波板をボディ側面に張りまくるのも違いはないかもしれない(笑)なので、そこは個人的な好みでボディの補強は考えればいいと思う。
■今後は有料コースを中心にしたクロカンへ
私は最近、廃道アタックやV字ばかりが延々続くような、いかにもボディを損傷しそうな場所へ入ることはほとんどなくなったが、以前は「廃道専用車」くらいの勢いで攻めていたものです。
当然、ボディはグシャグシャ、会社でも「お前、おかしいんじゃねぇか?!」と上司から再三、注意をうけ、しまいにゃ左遷されるしまつ(汗)。
最近では、廃道を探して攻めに行くことはめったになくなり、主に有料のコースを中心に走りに行くようにしているし、有料コース以外の地名を特にネットで明かすつもりは一切ない。
理由は、「有料コースでのクロカンというものを今後はメインのものにしていきたい」
と考えているからだ。
なぜ、このような考え方を持っているのかというと、廃道というのはいつ、突然、入れなくなるかわからないという不確定要素が大きいということがあるからだ。
実際、僕が走り始めた20年前に入っていた廃道で、今でも通っているところは1つもない。
また、廃道といっても、このインターネット全盛期にその存在を完全に隠し通せるとはとても思えない。
たまにだが、入ってはいけない道に無理やり入ろうとしている画像などを自慢げに公開しているのを見つけることも非常に多くあるのだが、そういうのを見かけ るたびに、”四駆によるクロカンをしている人間のモラルの低さ”を思い知らされることも相変わらず多いし、そういうことを今更、指摘してギャアギャアと無 様な論争を起こすつもりもない。
(自分も5年ほど前に、一度そういう四駆業界に見切りを付けて見放した経験があるので)
”四駆によるクロカン”という趣味を少しでも恒久的なものにしていくためには、確かに廃道アタックは楽しいのだが、少しずつそこからは引退し、”有料コー ス”という大手を振って走っていることを公開できるようなポイントでのクロカンに切り替えていく必要があると思っている。
僕が、自分の動画などを大量公開しているのも、「なるべく有料コースでのクロカンというのを一般化させたい」という想いがあるからです。
ただ、まぁ、いくらきれいごとを言っても、有料コースに面白みがないのではお金を払う価値はないので、コースの運営側も可能な限り、コースの使用者の要望を満たすコース造りなどを考えた方がいいだろうし、
コース使用者側も、なるべくなら積極的にコースを楽しくするための工夫や協力などもしたほうがいいと思いますね。
じゃないと、「車だけクロカン仕様にしても走る処がない」という本末転倒な事態にも陥りかねない。
実際、そのような地域も日本全国で広がりつつあると思うので、有料コースを近所で持っている処はそこを失わないように協力するとか、
ない地域なら、有料コースを作る協力などをしてもらえたらと思っています。
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