2012年11月12日月曜日

洞察力を磨く

  ■洞察力を磨く

「どうやったら効率的に、お金をかけずに四駆を操る能力が上手くなるだろうか?」

これが僕にとって四駆の一番の命題なのだが、そのために最も必要な能力が「洞察力」だと思っている。

ここでは、洞察力について少し書いてみたいと思います。


■経験と経験値の違い

「四駆でのクロカン」というのは、割と息が短い趣味だと思っているので、20年前も今も同じように走っている人というのはかなり激減しているのだが、

それでもいつまで経っても昔のまま、という人もいる。

これについてはいろんな解釈があると思うのだが、僕は2つのことを思っている。

一つは、「経験は積んでいるのだが経験値が溜まっていない」という場合。

これはロールプレイングゲームなどを思い浮かべてみればよくわかるのだが、例えば”ドラクエ”などで言うと、最初に出てくるスライムを倒すと最初のうちはレベルアップするが、

レベルが上がるにつれ、だんだんとレベルアップが難しくなっていく。

つまり、いつまで経っても上手くならない人というのは、いつまでも雑魚キャラばかりを倒す”経験”はしていても必要な”経験値”が全くたまらないため、レベルが上がらないというわけだ。

(これと同じ例えは以前のCCV誌でも出てましたネ)


もう一つは、「経験そのものも積んでいない」という単純な場合。この2つだ。


■経験そのものを積んでいない人

”四駆でのクロカン”というものは完全な趣味だし、お金儲けの手段でも派手な走りを魅せてナンボのエンターテイメントでも何でもないので、別に走りが上手くなくてもイイ。

四駆に楽しみというのは人によっていろいろあるだろう。

車をイジるのが好きな人もいれば、共通の趣味を持つ人と語り合うことが好きな人もいる。

走りに来てもほとんど走らず、友人とお話をすることが好きな人もいるし、観ているだけの人もいる。

それはそれでいいのだが、個人的に僕は「なるべくなら上手くなりたい」と思っているのでこんな記事を書いています。


今でこそ、自分がハンドルを握っていることが少なくなったのだが、これまでは走りに来ていたのなら、誰よりも早く走り始め、誰よりも長く走っていたものだ。

だから思うのだが、ほとんどの人は本当に走らない(笑)。


ただ、車によってはクラッチを冷やしながら走った方がいいとか、ATFを冷ましながら走った方が良いという車もあるので、2時間も3時間もぶっ続けで走るということが良いというわけではないのだが、

それでも例えば8時間走れるのであれば、車を休めながら実質5時間は車を運転したり牽引などしている時間は取れる。

ここではその時間のことを「実働時間」と呼ぶことにします。



■実働時間をいかにして増やすか

10台くらいで走りに行くと、一度コースに入って出るまでに半日くらいかかったりすることも珍しくない。

つまり、3時間ほどかけてわずかコースを一周程度しか出来ないってことも非常に多くある。

これでは経験値を効率良く貯めるために、まず経験自体を積むってことも困難だ。


これはアチコチの記事で書いてあることだが、長い隊列を組んでズラズラと走っているときも僕は誘導だとかアドバイスはほとんどしない。

ただ、見ていられないときやあまりにも危険な行為などが見受けられるときだけ声をかけたり、レスキューなどの申し出はするが、

大体は嘘ばっかりしゃべって遊んでいたり、突っ込んで遊んでいたりする(笑)。

アドバイスや誘導をしないのは、単純に走っている人に上手くなってもらいたいからです。

まぁ、そんなだから台数が増えてくると、ますます自分が走る時間が減ってしまうわけなので、あまり多くの台数で走るのは正直、あまり好きじゃないわけだ。


そこで私の場合は、「単独行」や、「3~4台程度の小隊」に分かれて行動することをメインにしていつも走っている。

大体、10台も20台もいても、他人の走りを観察するのは自分の前後数台がやっとだし、

それだけ台数がいたら、中には極めて初心者の方が混じっていることも多くなるし、車の損傷、転倒なども出てくるので全く進まなくなることも珍しくない。


■「誰と小隊を組むか」が重要になってくる

絡んでくれる人がいるときは悩まなくて済むのだが、なかなか会うことが出来ない人などがおられる場合は、積極的に絡ませてもらい、一緒に走らせてもらうようにしている。

これも人によってシキタリなどがある場合もあるのだが、人によっては遠方から来られた方に先頭を走ってもらう処もあるし、

うちのように自分がなるべく先を走って、最初は後追いしてもらうという場合もある。

自分の場合は、走る処の難易度が低い場合は自分が先行し、走る処の難易度が高い場合は来られた方に先頭を走ってもらうことが多い。

岡山近辺の場合なら、例えばスポーツランド岡山など、走る場所を選ばないと遊べないコースなどでは自分が先行することが多いが、

廃道アタックなどになると、初めて来られた方などに先頭を任せることが多い。

せっかく来られた方に楽しんでもらうための工夫だ。


自分の場合は、なるべく一緒に走る人は”走りの上手い人”を選ぶようにしている。

(最近はそればかりではないが)

特に前後の車は非常に重要ですね。

運転席に座ったままで走りを見ることが出来るのはやっぱり直前を走っている車か、真後ろの車だけしかありませんから。

だから、どうせ走るなら上手くなりたいと思うのであれば、躊躇することなく「これは」と思う人を捕まえて、前後どちらかを走らせてもらうようにした方がいい。

遠慮するだけ損だ。

多くても3~4台、それも経験車が多い小隊なら実働時間を効果的に増やすことが出来るし、何より上手な人や観察しておきたい人の走りを目の当たりにすることが出来るので上達は早いと思う。

また、どうせ自分の走りを見てもらうのも、上手な人に見てもらった方が的確なアドバイスやツッコミを入れてもらえるので、それも自分にとっての貴重な”経験値”になるだろう。




■経験値の積み方

これは僕の考え方かもしれないが、僕は険しい処を走らなければ経験値は積めないとは思っていない。

人やチームによると「険しい処を走ってナンボ」とか、「引っ張らないと進めないような処まで入っていってナンボ」みたいに思われている処もあるようだが、

最近では険しい処などを見つけるのも一苦労なので、そういう場所に行かなければ腕が磨けない、というのでは実際、経験値がいつまで経っても貯まらないし、

今後はますます腕を磨くのが厳しい状況になっていくだろうと思っている。

また、車も前後リジットの車で新車が国内でリリースされているのがそもそもジムニーだけというお寒い状況なので、これから乗る車は強度的に不安を抱えているものなどが増えてくるのはどうしようもないことだろう。

だから、僕がクロカンを始めた当初ほど、無茶苦茶な使い方は許されなくなってくるだろうと思われるので、ますます比較的カンタンな地形でも腕が磨けるようにしなければいけないわけだ。

私が走る度に課題を考えたり、細かい処にこだわるのはそういう理由があるからなのだ。

また、車そのものに走破性を与えすぎないのも、腕を磨くことを最優先するのと、操る楽しみをスポイルさせたくないからだ。

走破性が高い車というのは、極端な話、誰が運転してなくても、ハンドルを固定して、チョークを引っ張っておくだけで勝手に走破してしまうことが多くなる。

こうなると何が面白いのか?ということになってしまうので、僕は走るコースなどに合わせて、走破性は極端に上げないようにしている。

「一発で走りきる」ということにこだわらず、極力エンジンの回転数を抑えて這うクローリングと、積極的に前後に車を動かしながら地形と相談しながら走るのも、

車をなるべく労わって走れば、車を傷めず何度も走ることが出来るので、効率的に実働時間を増やすことが出来るので経験値を積むことが可能だと思うのだ。

車の走破性が極端に高くなければ、それほど厳しい場所ばかりを攻めずに腕を磨くことが出来るので、練習する場所も多く選ぶことが出来る。

エンジンの回転速度を抑えることにこだわるのは、より低速で車を動かすことで、より細かく地形からの情報を自分の中で処理することが出来るようになるためだし、

また細かく精密な操作をしたいからだ。

僕は「車の移動速度を抑える方が、正確で細かい操作ができるようになる」と思っている。

だが、エンジンを粘らせるということは、極めようとするとキリがないほど難しいことなので、普段から徹底的に練習して感覚を磨いておかねばカンタンに出来るものではない。

だから普段から走る前などの足慣らしも兼ねて、平地やちょっとした起伏を利用してエンジンを粘らせる練習からするようにしている。

険しい地形に入っていくことは、簡単な地形でみっちり過ぎるほどみっちり練習した後でも全然遅くない。

ほんの少しの段差や斜面さえあれば、ブレーキチョークの練習はもちろん、エンジンを粘らせる練習、わざと対角線スタックに持ち込む練習、前後に車を揺らす練習など数多くの練習が出来る。

逆に言うと、平地に近い処でそれらが出来ないのに、いきなり険しい処に入っていくのは十年早い。

特にこれらの練習は初心者のうちは必要だが、ある程度運転に慣れている中級クラス以上の人もものすごく重要だと思っています。




■さらに磨かねばならないのは「洞察力」

ここまで書いたのは主に「運転技術」についてだが、実際の処、四駆を操る上で最も重要なスキルに「洞察力」というものがあると思っています。

パッと地形を見たときに、どのラインならカンタンで、どのラインなら走破できなくて、どのラインならギリギリ通過出来るのか、ということなどを正確に見極めることが出来る「目」が「洞察力」です。

これを養うのにまず重要なのは、「他人や自分の走りをまずしっかり見る」ということです。

先日の記事で「自分が走っている処を動画で撮って、何度も確認する」と言ったのも、この洞察力を鍛えるためです。

僕が他人にアドバイスしないのは、自分で考えることで洞察力や判断力などを鍛えて欲しいからです。

洞察力を鍛えるには、運転席に座りっぱなしではまずお話になりません。

これから走ろうとしている地形を自分の足や手で触り、表面の状態や傾き、微妙な凸凹などを全て自分自身で確認すべきですね。

そしてその地形を覚えた後で、自分で走って初めて「走った」ということになるのです。

適当に運転席に乗っているだけで得られる地形の情報は本当に限られてますし、

もしそれだけで上手くなると思っているのであれば、これまで相当、時間を無駄にしてきたんじゃないかと思います。

最低でも、地形を見たときに自分の車ではどこにタイヤが来て、どのくらいでタイヤが浮くかとか、斜面に対してどのくらいボディが接近するか、シャックルや脚回りの部品やデフなどがヒットしないか、

などがある程度は正確にイメージできねばなりません。

これができていないのに走っているというのは単純に「車に運んでもらっているだけで、貴方が車を操っているのではない」ということを覚えておいてください。




■どうせなら「車に運ばれるドライバー」より「車を自由に操れるドライバー」に

今回は「いかにして経験値を短期間で効率良く積むか」ということについて書かせてもらいました。

もちろん、自分たちのコダワリとか考えとか、伝統などもあると思いますし、僕の考えが必ずしも正しいとは思っていないので反論等あるかもしれませんが、これは1つの案だと思っておいてください。

ただ、四駆でクロカンしていてよく思うのが、誰も正しい練習法を知らないとか、科学的なアプローチや、他の業界などでは当たり前な練習方法などが、なぜか四駆のクロカンの業界ではほとんどと言っていいほど普及していないと思うのです。

経験値というのは何も考えずに同じことを繰り返すだけでは貯まることはありませんが、

だからといって、険しい地形を走らねば貯まらないというわけではない。

工夫次第でいくらでも貯めることが出来ると思うのだが、逆にいえば頭を使って練習せねば、いくら走ってもなかなか上手くはなれない。

私は趣味で四駆でのクロカンという遊びをしてますが、

どうせするなら車に乗せてもらって運んでもらうただのドライバーではなく、自分の車の能力を極力引っ張り出せ地形との対話などを楽しむことが出来るドライバーになりたい。

貴方はどう思いますか?

(良ければコメントに何でも意見を残してください)

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