2012年11月12日月曜日

悪循環

■悪循環


実は、同じテーマの記事を今から丁度10年前に書いたことがある。

だが、10年経つと考え方も少し変わってきているということもあるので、44歳になった今の考え方を残しておきたいと思います。



■モータースポーツは”重さ”との戦い


本当に”クロカン”というものは奥が深い。

通常、”モータースポーツ”と呼ばれるものは、「いかに軽くするか」を競うことが多いのだが、

こと、廃道アタックや牽引なども含めたヘビークロカンとなると、「いかに軽くするか」ということは極端な話、最重要課題ではなくなると思っています。


私の場合、”四輪駆動車での最重要の条件”は、走破性や軽さやボディの小ささではなく、”家まで自走で無事に帰れる耐久性と汎用性の高さとコストパフォーマンスの良さ”だと思っている。

そんなこんなで、前後リーフのランクルというある意味、”温室”に肩までドップリとつかってしまっているので、自分でもどうなんかなぁ~?と疑問に思わないでもないのだが、

まぁ、僕の世代は前後リジットだったオールドランクルや、サファリなどディーゼルの重量級で心おきなくヘビークロカンが出来た、特権的な最後の世代だったということでクロカンを引退するまでこれらと戯れて遊べればいいな、と思っています。


「最重要の条件は重さではない」とは言ったが、クロカンにおいても無用な重量化は走破性の劣化や駆動系や操舵系への負担を大きくしてしまうことなので、良いことではない。

もちろん、クロカンでは付き物の”転倒”時にも、重量がある車の場合は被害が大きくなるので、「重量化」というのは本当に考えねばならない。


・・・ただ、僕は20年近くクロカンしてきて思うのが、「ある意味での見切り」が必要なんじゃないかな?ということです。



■「ある意味での見切り」って?


これは車種や、それぞれの得意分野が違うのでどの車にも一概に合う法則というものはないと思っているのだが、

例えば自分の車のように2t近くもある重量級ディーゼル車の場合、「派手な転倒は間違ってもさせるべきじゃない」と思っています。


以前、僕は自分の車で一回転をやらかしたことがありますが、その時入れていたロールケージは4点式で、センターピラーから後ろのみを保護するような作りになっていました。

ですが、フロントヘビーなランクル短の場合、裏返ると運転席の先端部と、ボンネットが地面と接地するので、センターピラーより後ろのロールバーなど、ものの役に立たなかった。

お陰で、フロントウインドーは思い切り手前に潰れ、もう少しでフロントウインドと頭が当たる処だった。




それ以降、今付けている6点式のロールケージを入れているのだが、これも作りは非常に華奢なもので、また別の機会に裏返ったら(正確に言うと裏返ったが運転席側への横倒しに戻った)

ロールケージが見事に歪み、フロントウインドーやインパネなどを派手に破損させてくれた。

それ以降、横倒しや壁に寄っかかるのでいうと100回以上はやっていると思うのだが、ゆっくりと寄っかかる程度なら問題ないのだが、派手に勢いがついたまま転倒したりすることはない。


ロールケージは各部にジョイントが入っているものなので、設置はラクなのだが強度的にはかなり弱い。

本来ならジョイントを溶接で潰すとか、トラスを入れて強度アップとか、もっと強度のあるワンオフ品を入れてみる・・・などをしてもいいのだろうが、僕は敢えてしなかった。

強度アップしても良かったのだが、重量級での補強はキリがないと思ったし、今のままでも斜面に寄っかかる程度なら被害はほとんどないし、

今は「斜面に寄っかからない腕を獲得することやボディを痛めない方法を採るということ」がメインのクロカンをしているので、派手に車を潰すような使い方は最初からしないようにしているからだ。

「自分の腕で問題なく行ける可能性が高い」⇒「そのまま続行」

「車を派手に潰す可能性がある」⇒「壊さないようにチルやウインチで補助するか、撤退する」

この判断はなるべく早く、行動もなるべく迅速に行いたいと思っている。


だから、僕の車の場合は、一回転しても大丈夫な強度は必要としてないし、またそれらの危険性が高い場所にうかつに近寄らないようにしている。

どこにでも行ける走破性を持たせることがクロカンだと思っている人もおられるだろうが、それらを追求することはキリがないと思っているし、

それらを持たせないからこそ楽しめるクロカンというものもあると思っているので、車をイジるのにも一定のラインで止めておくようにしている。

※これはあくまでも僕自身のこだわりとか考えなので、別に全ての人がこうしなければいけないと思っているわけではありません





■貴方が望む性能がクロカンでベストなものとは限らない


重量級の車で谷底に転げ落ちて平気なほど頑強な車にするには本当にキリがない。

少々、何があっても困らないように本当にしたいのであればこれくらいしなければいけないのだろうが(笑)、


エクスペンダブルズ2の冒頭に登場する完全武装のランドローバー

僕らは「走って楽しむ」ということがメインなハズなので、車を補強し過ぎることで重くさせ過ぎてしまい、転倒限界を下げてしまったりとか、

腕を磨こうと走り込みをしようにもデフやドラシャが走るたびに破損したり、操舵系などを痛めてしまうのでは、走り込みで山にいるより修理工場の方にいる時間が長くなってしまうという本末転倒なことをしてしまうことは意味がない。


これはギア比のダウンやエンジンのパワーアップなどにも言える。

ランクル70でPZJ/HZJになってからはフロントデフが8吋にサイズダウンされたのだが、フロントデフが小さくなってしまっているため、デフのファイナルダウンをしている車はあまり良い話を聞かない。

うちにも、フロント用の4.556と思しきリングギアとピニオンギアが転がっているのだが、交換予定はない。

またエンジンのパワーアップも同様で、クロカンでは下手にエンジンの力がない方が助けられる場合も多いということは知っておいた方がいい。


僕が重量級のクロカン車でクロカンをしていて、良いなと思うのが、「重量級でのクロカンは特に移動速度が遅いため、反射速度や運動神経などに頼る必要がほとんどなく、

洞察力、予測力、地形の読みや想像力などを総称した経験値やタイヤやシートなどから伝わってくる感触を頼りに見えないものを見て走ることは年齢とともに衰えることはほとんどない」ということだ。


例えば、「車をボコらないと走れない」とか、「毎年ドライブシャフトやデフが必ず壊れるので修理」とか、「タイヤの美味しい部分がなくなったら即交換」みたいな走り方って、

お金が非常にかかったり、若いうちしかできなかったり、出来る人も結局限られてくるので、そういうクロカンをやっている人は回転が早い(始める人も多いのだが辞める人も多い)んじゃないか?って思う。


過度に走破性のみに頼ったり、過度にボディの補強をしたり、過度に脚回りの強化をしたり、過度にエンジンのパワーアップをする・・・これらは「悪循環」に陥ることが多いと思う。

もちろん、過度に牽引に頼ることも、車を繊細に扱う楽しみを損なうことがあるので、これも悪循環に陥ることがある。

やっぱり何事も「ほどほど」が一番だと思う。



■余談その1

ちなみに、こんなセコいことを言わず、ガンガン潰して、高い部品を交換してくれた方が日本や世界の経済のことを思えばいいのかもしれない。

セコいことを考えるのは僕みたいな貧乏人だけでいいのかも?(笑)

動画を使ったクロカン上達法

 ■もはやタダ同然の動画環境

デジカメが市場に出始めた頃、静止画しか撮れないようなものが10万円弱もしていた。

私も以前はムービーの製造工場で働いていたのだが、最初の頃のものは業務用のものでなくても20万円くらいは平気でしていた。

今では、普段持ち歩いているスマートフォンにかなり優秀な動画用のカメラが載っているので、特別、綺麗な動画を撮ろうなどと考えなければ”ほとんどタダ(無料)”で動画を撮ることが出来る環境が手に入るような時代になった。

私の場合は、アイフォンを使っているので、撮った動画はそのままPCに繋げばあっと言う間にPCに転送出来るし、それをそのままYouTubeにフォルダごとアップすることが出来るので、

昔みたいにVHSのカセットテープが家に溢れることもなくなったし、ハードディスクがすぐ満タンになってしまい、ハードディスクを買い足したり、DVDなどを購入したりする必要もなくなった。

YouTubeだけに残しておくのが怖いのであれば、他の動画共有サイトが最低でも2~30個はあるので、それらに分散して動画をアップしておけば、よほどのことがない限りなくなってしまうことはないだろう。





■動画を使わねばモッタイナイ

僕はかなり昔からムービーを持っていたということもあり、四駆に乗り始めた当初の動画なども残っている。

ただ、当時はビデオカセットなども結構高価だったということもあるので、今みたいに毎回走りに行った動画が残っているようなことはない。

それを思えば、Jr.などは四駆に乗り始めた当初から、ほぼ毎回、それもかなりの頻度で動画が残っているので、自分の走りなどを後から見直してみることなどが非常に簡単だ。


今のところ、自分たちが走るときは、僕が走る時はJr.に動画を撮ってもらい、その逆の時は僕がJr.の動画を撮るようにしている。

理由はカンタンで、「少しでも早く上達するため」だ。



■自己マンにならないためには外からの目線が必要

何が誤魔化せないと言って、「動画」で残った走りほど誤魔化せないものはない。

アホな会話が残ることがあるのはご愛嬌だが、楽しかった記録を残すという目的だけでなく、「走りの解析」に動画をもっと積極的に活用すべきだと思う。

これはプロの競技などの世界では当たり前のことなのだが、自分のスイングやプレーなどを動画に撮って見直してみるとか、対戦相手のプレーなどを動画に撮って研究することなどは当然のことのようにされている。


これが四駆の世界ではどうか・・というと、どちらかというと楽しかった記録を残してウェブで公開というような使い方をされている方は多いと思うが、

うちみたいに自分たちの走りの解析をメインに動画を残しまくっているというのはかなり少数派じゃないだろうかと思う。


四駆の運転席に乗っていて得られる情報量というものは非常に少ない。

以前、あるショップのデモカーが完全にボディがない、スケルトンのランクルだったことがあるのだが、乗させてもらってビックリ。

エンジンが多少邪魔な以外は、ありとあらゆるものが手に取るようにわかるので、「こりゃ凄いな」と思ったものだ。


少し前に、アメリカの四駆の動画を特集したことがあるが、アメリカの四駆の中には邪魔なエンジンをさらにリアに回し、フロント周りの視界を極めて良くしているようなものまである。

私は運転席からの視界を良くするために左右のドアを取り外してクロカンをする機会が多いのだが、

これは大げさでもなんでもなく、ドアが付いた状態でクロカンをすると最低でも10%は走破性が落ちると思っています。

それくらい「視界」というものは大事だと思っています。


例え、ドアを外しても死角を100%無くすことは絶対出来ないのだが、死角を減らす方法もある。

1つは至るところにミラーやCCDカメラなどを設置すること。

もう1つは外から撮った画像を後から見て確認すること。

この2つだ。


実際問題、車の死角全てにCCDカメラなどを設置することは現実的ではないので、死角を減らそうとするなら、自分の感覚を磨き、「見えないのに見える」ようにしなければならない。

そのためにも絶対、「運転席から見えない様子を外から動画として残しておくことが必要」だと思うのだ。





■自分で思っているイメージと実際とは随分と違う

これは自分の経験なのだが、運転席では会心の出来だと思っているような走りをしているときの動画を後から見てみると、「なんだこりゃ?!」って思うことも珍しくない。

逆に、走っている当時は「絶対ダメだ」と思って撤退している動画などを後から見てみると、「なんだ、こうすれば良かったんじゃない」ってことも多い。

よく自分の姿や声が録画されているのを見てみると自分がイメージしていたものと違うということがあるが、それは走りや牽引の様子などについて同じことが言える。


自分では効率良く準備しているつもりが、大して効率的に見えないとか、後から冷静になって考えてみると、もっと有効な牽引方法があったとか、道具の使い方にマズい点があるなど、自分でも結構後から観察して驚くことがある。


まぁ、これは全ての人においても言えるかもしれないのだが、自分が思っているほど上手くはないのかもしれない。



■効率良く動画を残す方法

一昔前と比べると動画を撮るムービーなどは格安になり、その大量のファイルを保存しておくこともほぼ無料で出来る便利な世の中にはなったのだが、

「自分の走りを動画に残す」ということは多少面倒臭い作業と言える。

一人だけで山に走りに行った場合などは「自分撮り」以外に動画を残す方法はないのだが、これはかなり面倒臭い上に、あまり良質な動画は残せない。

以前、ムービーを持って山に行っていたころは、三脚を持って行って録画ボタンを押して車に戻り、動画を撮っては自宅のテレビで動画を再生して走りを見直してみたりしていたことがあったのだが、

あまりにも面倒だったり、車の動きをトレースしてくれるわけじゃないのでしばらくして辞めてしまった。

今は、Jr.と二人セットで動いていることが多いので、どちらかが運転しているときはどちらかが撮影出来るので、自由に動画を残せるようになったが、これは確かに便利だ。


問題はどうやったら自分が走っている処などを動画として残してもらうかなのだが、これは自分が他人の走りを撮って動画をウェブにアップしてあげる代わりに、

他人に自分のムービーや携帯電話を渡し、自分が走る処を撮ってもらうということが良いだろうと思う。


また、最近はYouTubeなどにアップしている動画をダウンロード出来るフリーソフトなどが充実してきているので、

それらを使って、他人が撮り、YouTubeにアップしてくれている自分の動画をダウンロードして、編集して自分のものとして再度アップすることも可能だ。


動画の編集は難しいように思うかもしれないが、例えばウィンドウズ機を貴方が使っているのであれば、

ウィンドウズ・ムービーメイカーとか、ウィンドウズ・ライブ・ムービーメイカーみたいに最初からPCにインストールされている簡単な動画編集ソフトなんてのもあるし、

YouTube内にも「クリエイター向けツール」という処で使える動画エディターなどがあるし、また「アナリティクス」を使えば簡単にBGMを入れたり字幕を入れることなども可能だ。


自分の動画を撮って、アップしてくれた人に了承さえ頂くことが出来たら、このように自由に自分の動画としてウェブ上に残し、いつでも自分の走りをチェックすることが出来る。



■字幕を入れるだけで随分理解度が変わってくる

僕がオススメするのは、「自分が上手くなりたいのであれば、他人に教えること」だ。

これは仕事や受験勉強などあらゆることに応用出来る技術なのだが、本当に何かで上達したいのであれば、誰でもいいので他人に教えると良い。

先程も少し書いたが、僕の仕事はメルマガを書くことというものもあるのだが、メルマガを書こうとすると、相当、その事に関しては精通していないと難しい。

逆に言うと、メルマガなどで他人に有益な情報を教えるうちに、自分自身が知らぬ間に上達しているものなのだ。

そこで動画をYouTubeにアップする上でオススメなのは、動画に字幕を入れて自分の操作の解説をしてみたり、思っているノウハウやその場の状況などを事細かに入れてみることだ。



走っていたり、後から動画だけをボーっと見てては気がつかないことも、文章などになおしてみるだけで理解度が急に深くなることがある。



■お風呂につかりながらクロカンが上達する方法

自分の場合、ウェブ上で完結する仕事をしているってこともあり、たまにだが風呂場で長湯しながら自分の会社の売上などをスマホでチェックしていたり、さらにポータブルのキーボードを持ち込み

メルマガを書いていたり、このように四駆のブログで遊んでいたりする。

今はあまりしなくなったが、以前は毎月2~3回は仕事で東京とか、遠いところでは北海道などに行っていたので、その移動の最中などではスマホ+キーボードで仕事してたものだ。

この様なことは別に仕事だけでなく、YouTubeなどにアップしておいた自分の動画などをチェックし、自分の走りのダメ出しをしたり、良いイメージを植え付ける助けをすることもできるだろうと思う。



・・・いろいろ書いたが、四駆の腕を上達させるのは別に山でハンドルを握っていないと出来ないというわけではないし、

車をボロボロにしながら極所を攻め続けないといけないというわけではないと思う。


要は、自分の走りを外から客観的に見ることで得ていく「眼力(がんりき)」であったり、地形などを見て自分の車ではどのように走れば良いのかを判断する「洞察力」、

それから、これは僕はクロカンをする上でものすごく重要なスキルだと思うのだが、これから走るラインで自分の車がどのような挙動を起こすかという「想像力」というものがクロカンの上達では不可欠だと思っている。


これらは車を壊さず、それでいて厳しい処を攻め続けるという矛盾した2つを成立させていくのに不可欠な条件だと思う。

ボディを傷めないように走るからこそ腕は磨かれる

 ■以前は主流だった凸凹ボディでのクロカン


「廃道」となると、付き物なのは、ボディを擦りそうなレの字溝や、落としたら最後のY字型溝がある道。

または、沢などの水の中にラインがある道などなど。


元々、僕の車はそういう処を得意としていたハズなのだが、前提としてボディをグシャグシャにしてもOKというものがあったので、今ではそういう走り方はしたくない




以前、僕がクロカンを始めた当初、同じクラブで走り方が極めてシャープで尊敬出来ると思っていた先輩がいた。

僕がPZJ70を買ったのも、その人と同じ車に乗りたいと思ったからなのだが、実際に僕がPZJ70を買ってからは、その人と正反対にボディをグシャグシャにする走り方に特化するようになってしまった。


まぁ、ボディをグシャグシャにしたことについて後悔はしてないし、そこまでしたからこそ得た貴重な経験があったことには間違いないので、ボディをグシャグシャにしたことについてはどうということはないのだが、

その先輩が言っていた「梶原くん、ボディを痛めないように走るからこそ、上手くなるんだよ」って言葉が、言われて15年ほど経って、意味がはっきりとわかるようになってきたと思う。





■クロカン車をめぐる環境も変わってきている


ここ数年、車検制度がかなり厳しくなってきたと感じている。

僕の車も、以前のように凸凹が多い状態では車検に通らなくなってきたので、今ではあのように「比較的マシ」なボディにしているのだが、不思議なことに今まで一度も、あの車で走っていて警察に止められたとか、職質を受けたということはない。

余談だが、以前、白のランクル60に乗って、ボディ全面を白に塗り、ボディ側面にシャレで「UN(国連軍のことね)」って書いていた時期があったのだが、

ちょうどその頃オウム事件があり、泥だらけでコースから帰っていたら検問に引っかかり、荷台に載せてあった泥だらけのスコップが見つかり、「なんじゃこりゃ!」と言われたことがあった。

ボディの凸凹具合と、職質は関係ないのねって今でも思うのだが、まぁ、凸凹なボディが良いわけはなく、グシャグシャなボディじゃないと出来ないクロカンは、淘汰されてもしかたないよね、と今では思っています。


自分の車の後ろ半分にアルミの波板を張ったりフロントフェンダーを比較的綺麗なものに替えたのは、ちょうど一旦、クロカンから引退する前だったので、実際の処、あのボディで厳しい処をゴリゴリ攻めたことはない。

だから、先日からプチ廃道アタックだとかなんだとか言っているのだが、あの状態は正直、廃道アタックには向かないねと思う。


先日、同行していたJEEPは、オーバーフェンダーなどが付いていないタイプなのだが、ボディ自体の作りがタイヤの位置に対して内側に寄っている部分が多 いとか、燃料給油口の処に鉄製のハンドルグリップが突き出していたり、フロントウインドの横にも同じようにグリップが出ているので、地形にヒットするとき はボディよりそれらのぶつけてもあまりダメージがないものが先にヒットしてくれたり、

リアのオーバーハングもランクル短よりは明らかに短いので、元々、斜面などに張り付いてもボディにダメージが及び難い形状になっていると思う。


だが、今、三菱ジープが再販になるかというとそんなことはありえないので、これから販売される車や、いまだに多く出回っている車について考えた方がいいと思う。




同じランクルでもセミロングだとか80系、サファリY60/Y61など、リアのオーバーハングが70短よりも長い車などは、元々かなり凹みを作りやすい。

では、どうやったらボディへのダメージが少なくなるのか?というと、てっとり早い手としては、スペーサーやワイドトレッドでマイナスオフセットのホイルを履いてタイヤを外に突き出すことや、

オーバーハングを思い切って切る、オーバーハングの側面に補強の板などを貼り付けるなどがある。




ただ、タイヤを外につき出すことは、4ナンバーのランクルの場合や、黄色ナンバーのジムニーの様に法令遵守(コンプライアンス)の問題があるのだがそれ以外にも、

先日からも言っているのだが、マイナスオフセットによるキングピンベアリングや操舵系へのダメージなど、特に耐久性が要求される廃道仕様としては本末転倒になる可能性もあることなので、あまり極端な改造は逆効果になることがある。

だから、「耐久性のことなども考えるとそこそこの改造にとどめておいた方がいい」というのが僕のスタンスだ。


波板をボディの側面に張り巡らせることも廃道アタックなどでは非常に有効だし、ロールケージなどをボディ外部に張り巡らせることも有効なのだが、それらは下手をすると、「下手クソ醸成機」にもなりかねないと思っている。



■車を傷めないように走るからこそ腕が磨かれる


実際、車を傷めないようにしつつ、しかもかなり厳しい処を責め続けるというのは凄く難しい。

以前ならゴリゴリ言わせながら無理に押し通すって走り方をしていた地形を、ウインチやチルなどでボディと地形が干渉しないようにしながら進んだり、

タイヤや脚回りが痛まないようにある程度あがいたら撤退したり、ウインチングなどに切り替えて前進したりしている。


先日もちょっと驚いたのだが、スワンパーは使い方を間違えるとあっという間に爪がバリバリ取れてしまう(汗)





これが無制限に「何でもOKや!」とばかりにブン廻しても見た目なんともないようなタイヤを履いているのだったら、おそらくは「タイヤをいたわりながら走ろう」などと思う機会はなかっただろう。

あのタイヤは泥の中なら無制限にブン回した使い方をすると無類な強さを発揮するのだが、岩盤質のような地形では物凄く繊細に扱わねば、一気にタイヤの旨みが消えてしまうというだけだ。

使い方を間違えるとかなりマズいってことなので、ちょっと初心者向けのタイヤではないのかもしれないが、まぁこれも「規制」の一つだと思えば楽しみの一つなのかな?とも思う。


自分の車の場合、駆動系や脚回りはかなり余裕のある70幌なので、それらを強化する必要はほとんどないのだが、普通の車は多少なりとも強化した方がよい部分があるということは知っている。


だが、「敢えて強化も最小限度に留めておく」という改造の方法でクロカンを楽しむことも、ある意味では必要じゃないのかなと思うことがある。


15年ほど前、「車を傷めないように走る方が腕が磨かれるよ」と言われたときは、「そんなんじゃ走れる処が限定されるじゃん」と思っていたものだが、

今では「敢えて自分に規制をする意味でも、車を極力傷めないように、それでいて難所を避けるのではなく挑戦し続けるような走らせ方をするのであれば、腕は短期間に大きく磨かれるんじゃないか?」と思うようになりました。


車のボディを痛めない、駆動系も痛めない、派手なボディの補強もなるべくしない、タイヤも痛めないようにしながらそれでいて厳しい地形をスルスルと抜けるようにするのは極めて難しい。

だからこそ、極める価値があると思っている。



■本当に上手い人の走りは物凄く地味なもんだ


これはどんな競技でも言えることなのだが、本当に上手い人というのはその行動の1つ1つに無駄がないので、物凄く地味に見えることが多い。

野球選手などで例を挙げればわかりやすいのかもしれないが、100%や120%の力で戦うと怪我をしてしまうので、手を抜いているというわけではないのだが、80%くらいの力を100%に見せることが非常に上手い人もおられる。


車の世界の場合、極端な話、金さえ用意出来れば車なんていくらでも再生可能なので、アスリートほど怪我などへの恐れをもつ必要はないのだが、壊すこと前提でバリバリやっている人の走りというのは、一見すると派手で上手く見えることもあるのだが、

僕のような基礎練習を徹底的に普段から行なっている人間からしてみると、運転の細部に雑なところが見えてしまったり、限界付近での車の操作がおかしいと思うことも珍しくない。


僕としては腕と車の性能が拮抗しているとか、どちらかというと車は大したことないのに、不思議とスルスルと走れてしまうような人の方が格好よく見える。


基礎練習に向く場所がないというような状況があるのかもしれないが、基礎練習中心のクロカンや、難所は走るのだが車を労わるような走り方を追求してみるのはいかがだろうか?

いつもの場所でプチ廃道アタック

いつもの場所でプチ廃道アタック いやぁ~、今回は久しぶりに自分でハンドルを多く握ってクロカンして遊べました。

Jr.は「動画が少ない」と不満気味でしたが、まぁ、険しい廃道アタックをするにはまだ少し経験値が足りないので、今日は見学という感じでよかったんじゃないでしょうかね。

静止画像の方は、愛車紹介のフォトの方に載せているのでそちらもごらんください。

動画はYouTubeに32本ほど載せましたが、YouTubeの使い方がまた小変更が入っているみたいで、使いにくくていけませんね。(汗)

今回の動画は、こちらに再生リストをご用意しておりますので、連続再生が可能です。

2012年10月27日プチ廃道アタック





広場に続く林道ですが、ここ数年ですっかり荒れてしまい、自分の車では自走では登れなくなってしまっています。

ボディを痛めながら重戦車みたいにゴリゴリ行けばいいかもしれないのですが、「なるべく綺麗なボディでクロカンしたい」ってこともあり、積極的に引っ張ることに。

この動画は、以前静止画像で説明したのと同じ引き方をしているものですが、右側に見える岩を避けるために向かって左側に一旦引っ張り上げておいてから、揺り返しを使ってフロントを向かって右に流して通過。

僕のウインチングは、「難所を真っ直ぐ引破」というより、こんな感じでピンポイントで使うことが多いので、「横引き」とか「斜めに引く」ってことが極めて多い。

ただ、まともにガリガリ引いたのではウインチも、ワイヤーもフェアリードももたないのは分かっているので、基本的にトルクアシスト重視、ウインチはテンションを張る程度という使い方が多い。






綺麗なフェンダーが邪魔してどうしても斜面に張り付いて登れなかったため、ウインチで引破。





レの字溝になった斜面を登ろうとしたら、斜面の上の方に投棄されていた金属製の柵か何かがフロントウインドの窓枠にヒット。

後ろに下がると被害が拡大しそうだったので、引破。





ここは通称「ムーミン谷」ですが、「自走では無理」と判断して、さっさとウインチで引破。

最後にここを走ったのは7年ほど前だったが、当時細くて使えないと思っていた木が明らかに太くなっていて、複数アンカーが必要じゃなくなっていたのが笑えた(w






17時を過ぎたので大急ぎで帰路についてますが、登るのに苦労した廃道なら、当然帰りも苦戦することに(w

リアにはアルミプレートを張り巡らせているのでこの手の斜面なら多少ゴリゴリ擦っても大したことはないのだが、なるべく綺麗にしておきたいってこともあり、まずはシングルラインで斜めに牽引。





フロントだけ斜めに引っ張ったのではリアのオーバーハングがさらに食い込むので、滑車を使ってボディ全体を横方向にテンションをかけながら前後揉み出ししつつ、斜面から車を引き離す作戦。







あっという間に真っ暗に・・

この時期は日が暮れるのが早いので撤収時期を間違えないようにしないといけませんね。



■今回のクラックマンのウインチングの様子

これはムーミン谷



う~ん、徹底的に引っ張ってたのは自分だけか・・・

廃道アタックは楽しい?!


■ボディは消耗品?!


この趣味をしていてよく思うのが、「ボディは綺麗なままで遊べないか?」ってことですね。

ヨンクを使ったクロカンという遊びは、他のモータースポーツと違いがあることが非常に多いのだが、ボディへの考え方も他のものと比べるとかなり違いがあるように思う。

例えば、峠を攻めている連中でボディがグチャグチャなままで攻めている人ってどのくらいいるのか?だが、まぁほとんどいないだろう。

(たまにバンパーが少しの衝撃ですぐ取れるようになっていたりはするみたいですけどね)


特に廃道アタックや、ヘビークロカンをしている車の大半が多かれ少なかれの凹みを作っているのを見ても、いかに四駆のクロカンという遊びがボディへのダメージを受けやすいかわかると思う。


僕も以前は、「ボディはバンパーの一部や」とか、「ボディは消耗品」くらいにしか考えてなかったし、「クロカンってボディが凹むもの」くらいにしか考えてなかったので、正直、ボディを痛めることに関しては何も考えていなかった。


ただ、今から5年ほど前、つまりクロカンを一時引退する少し前くらいから少しずつ考え方を変え、「なるべくボディを労わる走り方に変えてやろう」というものになってきている。

理由はいくつかあるのだが、そのうちの1つが「今までの凸凹なボディだと車検が通らなくなってきた」という理由。

もうひとつが、「やっぱりあまりにも見栄えが悪い」という当たり前の理由(笑)


今の僕の車の前半分のボディは前半分の部分を探すのが難しい位になっているのだが、リアのボディ側面にアルミの波板を張った時点で、フロントフェンダーを知り合いの車からもらってきた比較的凸凹の少ないものに交換、

ここからはなるべく凹まさない走りにしようということにしました。


今のところ、うちに転がっている帰国子女のランクル80はクロカン(それも廃道アタック)には使う予定はないのだが、もし使うのであればどうするか?というような視点で以下の記事を書いてみたいと思います。



■廃道アタックは楽しい


「廃道」にもいくつか定義があると思うのだが、ここで私が言うのは進入することに対して特に規制されているところではない場所や道ということにしておきます。

廃道アタックは楽しい。

僕も特にクロカンを始めた当初は、岡山県の南部にも進入出来る廃道が多く残っていたということもあって、よく友人と数台とか単独で「昔、道だった道」に突っ込んで行ってはハマったり延々とバックして遊んでいたものだ。

実は、長男が生まれる1日ほど前、会社の近所にあった山の中に廃道を見つけたので自分一台だけで突っ込んでみたことがあったのだが、

当時乗っていたランクル60にはウインチなどのレスキュー用品が全く無かったということもあるのだが、「ちょっと」のつもりが6時間も抜けるのにかかり、大汗が出たことがあった。


関係ない話だが、僕のオヤジはゴルフに狂っていた。

そして、僕が産まれた日にもゴルフをしてて帰ってこなかったそうなので、未だに僕に恨まれている。

「自分はそんな父親にはなりたくない」と思っていたので、無事に帰れたときは心底ホッとしたものだった。(あとになってごちゃごちゃ言われたくないし)


これは良くない例だが(汗)、まだ誰も轍をつけていないところに轍を残すのは楽しい。



■廃道アタックでの装備と車の仕様


”廃道アタック”というと、ジムニーの独壇場のように思われるかもしれないが、かれこれ20年近くランクルだけでクロカンをしている人間からしてみれば、ランクル等の重量級は重量級ならではの楽しさってのがあると思っています。


まず、重量級で廃道アタックをする際には装備にも気をつけねばならない。

普段持ち歩かないが、エンジンチェーンソーや草刈機、ツルハシやジョレン、クワなどの土木用道具、グランドアンカーや大ハンマー、溝や穴を塞ぐのに使うグレーチング(アルミラダー)。

あと、溶接用のケーブルと溶接棒、手袋やカバーなどもあると心強い。

ウインチやチルホール、ハイリフトジャッキなどはもちろん標準装備だ。

(重いチルの代わりに、8mくらいのチェンブロやハンドウインチなどで代用することも可能)

ジムニーなら数台に分乗させねば載らないような装備も一台で載せれてしまうのが、重量級ならではのメリットだ。


台数は2~3台がベスト。

スキルと装備、改造などが廃道向きになっていない者がついてくるのは邪魔になるので、そういう人(車)は、同乗者としての同行は許すが車を出すのは遠慮してもらう。


車の改造でいうと、ウインチは必須。

応用範囲の広さでいうとPTOより電動ウインチの方が望ましいのだが、めちゃくちゃドロドロの道を延々と引っ張らねばならないような時は、PTOウインチの持久力は捨てがたい魅力があることは間違いない。


ウインチがない車をどうしても同行させねばならない場合は、前後を経験値と戦闘力を兼ね揃えた車で挟むと良い。

(これはスノアタも同じですね)


車のプロテクションは基本的にガッツリしておいた方がいいが、車をヘコましても大丈夫という覚悟や経済力がある人なら問題なし。

コース主体の人があまりやってないことでいうと、腹下の強化ってのが結構重要。

リーフ車は元々腹下の強化が出来ている場合があるのだが、結構気をつけねばならないのはコイル車(もちろんハチマルも)

リーフの場合は、走破性を邪魔するリーフがタイロッドやショック、ブレーキホースなどを保護してくれる場合があるので、割と無改造でもゴリゴリとゴリ押し が出来るのだが、コイル車は、下に何が潜んでいるか分からない廃道では結構、細かい強化をしておくほうがよい場合がある。

例えば、フロントホーシングの前にむき出しの状態になっているドラックリンク。

アメ車などで改造している車を見てみると、ホーシングから保護するアームが伸びていたり、エンジンのオイルタンクの下にガードが出ていて、ドラックリンク周辺をガードしていることもあるので、それを見習ってガードを追加してみるとか。

ただ、ひとつ気をつけねばならないのが、ガードのやりすぎで重くし過ぎないこと。

どうしてもブツケて壊れてしまって困る部分だけ部分的に改造を施していった方が良い場合が多い。


あと、「タイヤをはみ出させるかどうか」についてだが、これについては色々な意見があると思うのだが、私はクロカン初心者のうちから派手にタイヤをはみ出させるのには反対だ。



■タイヤのサイズとオフセットは慎重に考えよう


車などによっても条件は少し違ってくるので、これは程度問題とかイロイロあるとは思うのだが、敢えて「ランクル」に限らせてもらって言わせてもらうと、70系と80系では明らかに70系の方が、「ハミタイ」(ハミ出しタイヤ)についての耐久性が劣っている。

これはそれぞれのノーマルボディ(オーバーフェンダーを付けていない状態)でのタイヤのオフセットを比べてみればわかるのだが、

ランクル70系が”0”なのに対して、80系が”+20”である。


つまり、ランクル70系に比べ、80系は元々20mm、ノーマルボディの側面に対してホーシングそのものが長いということが言える。


80系の脚回りのメンテなどをしているとよく思うのだが、細かいところで70系(前後リーフのPZJ/HZJ7*)に比べて進化しているなぁと思う点が多々ある。

先程のプラスオフセットの件もそうだし、フロントのブレーキホースの取り回しも、ランクル70系がドライブシャフトなどを外すとき、ブレーキホースも外してしまわねばならないところが、80系では取り外さなくても可能な点、

ホーシングについているドライブシャフトのシールも、70系のものより一回り大きいタイプのものが付いていたりするので、明らかに耐久性は上だと思われる。

(ちなみにリーフの70系でも、BJ系のものよりPZJ/HZJ系のものの方がシールが一回り大きいが、フロントコイルになった70系や80系の方がさらに大きい)


僕が、タイヤのオフセットについていろいろ言っているのは、車の耐久性についても極端に外に押し出しているのは不利だということもあるのだが、なんといってもウインチングなどで不利になることが多いからだ。


ちなみに、私は今のところ34吋のスワンパーを履くためにフロントタイヤに30mmのスペーサーをかませてフロントのトレッドを60mmほど拡大させているのだが、本来あまり好ましいことではなく、「仕方なくギリギリ広げれる処まで広げているだけ」という感じが強い。


確かに、トレッドのワイド化によりボディへのダメージは減る可能性が極めて高いのだが、安易にトレッドを広げてしまうと(特にフルサイズの80系などは)ただでさえ入れる処が少ないのに、さらに自分で自分の首を絞めかねないことが多いように感じる。

70系は基本的に4ナンバーサイズ(普通車では5ナンバーサイズ)のボディサイズなので、自分的には「ジムニーで入れる所なら自分の車でも押し通せる」くらいに思っているのだが、

さすがに80系やサファリのY60/Y61などでは、「う~む、ちょっと無理ちゃうか?」って思うような場所も珍しくない。

ただ、重量クラスのワイドトレッド車も、重心の低さや、ジムニーでは落としたら転倒してしまう溝や穴などでも安心して落とせる許容量の大きさみたいなもの もあるので、一概に「重量車だとかワイドトレッド車は廃道アタックが苦手」だとは思ってないのだが、ウインチングなどでワイドトレッド化が悪影響を及ぼす ことがある。


では、具体的にどんな時にウインチングなどで不利になるのか?というと、こんな時だ。



溝の底にフロントタイヤがある処からウインチで強引に前進させている動画ですが、巻き取り初めてすぐ、タイヤの向きが変わっているのがわかるだろうか。

これは右側のタイヤのある場所が、抵抗が強かったためタイヤが引っかかり、ワンダリング(?)でタイヤの向きが強引に変わっているのだが、

タイヤが引っかかりの強いスワンパーだという理由もあるのだろうが、やはり30mmのスペーサーでタイヤを外に出しているのが、この現象をより強くさせてしまっているように感じる。

考えてみればこれは当たり前のことで、ランクル70系はもともと先ほども言ったが、キングピンの中心軸が、タイヤの内側に寄っているので、ワイドタイヤを 履いたり、今回みたいに引っかかりが強く、さらにオフセットを外に押し出す(マイナスオフセット)スペーサーをつけたりすると、この現象が顕著になってし まうわけだ。


今回の動画の場合は、ウインチワイヤーを送り出しながらリバースに入れて前後にゆすることで、タイヤの向きを中立状態に直すことが出来たが、

パワステがあるからといって、ゴリゴリこじるようにステアリングを切っていたらいくら頑丈な操舵系を持つランクルと言えど、数年しかもたなくなってしまう。


現に僕の車も一度、ロッドのジョイントが壊れる現象を起こしたこともあり、据え切りや、ステアリングをこのような状態で無理にコジるような操作はしなくなったのだが、

34インチのスワンパーと30mmのスペーサーという、かなり廃道アタック用としては”控えめ”な僕の車であのくらい、ステアリングを引っ張られる状況が 起こるのであれば、さらに太いタイヤを履き、さらにタイヤの中心軸とキングピンとの軸との差が大きい車だとすさまじいワンダリング(地形にタイヤがひっか かり、そちらの方向にタイヤの向きが強制的に変えられる現象)が起こるんだろうなあ?と思う。



■ワイドトレッド化は慎重に


そういうわけで、特に廃道アタックでは、ハミタイというかワイドトレッド化は「そこそこ」が良いように感じる。

理由は先ほどもいったように、

1.ワイドトレッド化によって物理的に入れる場所が減ってしまう恐れがある
2.ウインチングで操舵系(特にキングピンベアリング)を痛める可能性がある
3.廃道の真ん中で、もし操舵系が壊れてしまうとかなり面倒
4.タイヤの大径化や重量化に伴い、CVやデフなど駆動系を壊す可能性が高くなる


このようなものがある。


もちろん、タイヤの大径化や重量増はCVジョイントやデフに過大な負担をかけてしまうので、山の真っ只中で「ベキッ!」と言わせてしまうと、自分もそうだが同行者にも迷惑をかけてしまうので、

コースなどを走るよりさらに「壊れ難い仕様」にしておくことをお勧めします。


私の車の場合は、前後ともオーバーフェンダーは付けてなくても警察に止められることはない(ほとんどハミ出してない)のだが、廃道をアタックしようというのであれば、もう少し外にタイヤを出しておきたい処だ。

というのも、後ろ半分はアルミの波板などを全面に貼り付けているので少々、地形に干渉してもどうということはないのだが、フロントフェンダー周りやドアは なんら補強やガードを入れてないのでもう少しタイヤを外に押し出し、干渉する可能性を減らしたいということもあるからだ。



■廃道アタックのボディの補強について


僕的に一番良い「補強」は、ランクル70系のように独立したフェンダーなどを持っている車の場合は、「廃道アタック用ボディ」を持っておくことだと思う。

僕の70幌の場合は、フェンダーの着脱が非常にカンタンになる工夫をしているので、「極めてイカツイ廃道」を攻めにいくのであれば、庭に転がっているボコボコのフェンダーに付け替えて行くだろうと思う。

当面、そんな予定はないので今の比較的綺麗なフェンダーで「なるべくブツけない運転」を心がけているのだが、

廃道アタック用の車であれば、最低でもボディの四隅はガッチリと補強し、ドアやサイドシル、前後バンパーは地形などに応じて強化していく、という感じがいいんじゃないか?と思っています。


これは余談かもしれないが、廃道などをガリガリとアタックする車ではウインチングなどの機会がすごく多いので、ボディの上に乗って移動するということも考えた作りをしておく必要もある。

たとえば、軽量化の代名詞みたいなFRPボンネットだが、廃道だけで考えると一概に良いことばかりではないことをご存知だろうか。


ウインチングをしている時を考えてもらえばわかるが、テンションを張ったワイヤーを避けて、車の後ろをグルッと回らねばならないことが非常に多いのだが、後ろがふさがれている場合、車の上を通って反対側に移動しなければならないことがある。

そのとき、運転席の中を通るのは極めて面倒なので、ボンネットの上を通って反対側に渡ることがあるのだが、このときFRPボンネットだと強度に不安があるので渡れないことがある。

(ジープなどフロントウインドを前に倒せる車はFRP化するとフロントウインドを倒せなくなるという理由がある場合も多い)


実際、私と同じ考えで敢えてFRP化を先送りしている人もいるということを覚えておいてもいいと思います。


あと、廃道アタックでいうのなら、有効な装備としては、ブッシュワイヤーやボンネット上部やフェンダー上部へ滑り止めの波板を貼る、というものがある。


ボンネットの先端からウインドーの上部に張られているワイヤーがブッシュワイヤー


私としてはパイプフェンダーなどをボディの外に張り巡らすことは、なんとなく大げさ過ぎるので好かないのだが、それを言うならアルミの波板をボディ側面に張りまくるのも違いはないかもしれない(笑)なので、そこは個人的な好みでボディの補強は考えればいいと思う。



■今後は有料コースを中心にしたクロカンへ


私は最近、廃道アタックやV字ばかりが延々続くような、いかにもボディを損傷しそうな場所へ入ることはほとんどなくなったが、以前は「廃道専用車」くらいの勢いで攻めていたものです。

当然、ボディはグシャグシャ、会社でも「お前、おかしいんじゃねぇか?!」と上司から再三、注意をうけ、しまいにゃ左遷されるしまつ(汗)。


最近では、廃道を探して攻めに行くことはめったになくなり、主に有料のコースを中心に走りに行くようにしているし、有料コース以外の地名を特にネットで明かすつもりは一切ない。

理由は、「有料コースでのクロカンというものを今後はメインのものにしていきたい」
と考えているからだ。


なぜ、このような考え方を持っているのかというと、廃道というのはいつ、突然、入れなくなるかわからないという不確定要素が大きいということがあるからだ。


実際、僕が走り始めた20年前に入っていた廃道で、今でも通っているところは1つもない。


また、廃道といっても、このインターネット全盛期にその存在を完全に隠し通せるとはとても思えない。

たまにだが、入ってはいけない道に無理やり入ろうとしている画像などを自慢げに公開しているのを見つけることも非常に多くあるのだが、そういうのを見かけ るたびに、”四駆によるクロカンをしている人間のモラルの低さ”を思い知らされることも相変わらず多いし、そういうことを今更、指摘してギャアギャアと無 様な論争を起こすつもりもない。

(自分も5年ほど前に、一度そういう四駆業界に見切りを付けて見放した経験があるので)


”四駆によるクロカン”という趣味を少しでも恒久的なものにしていくためには、確かに廃道アタックは楽しいのだが、少しずつそこからは引退し、”有料コー ス”という大手を振って走っていることを公開できるようなポイントでのクロカンに切り替えていく必要があると思っている。

僕が、自分の動画などを大量公開しているのも、「なるべく有料コースでのクロカンというのを一般化させたい」という想いがあるからです。


ただ、まぁ、いくらきれいごとを言っても、有料コースに面白みがないのではお金を払う価値はないので、コースの運営側も可能な限り、コースの使用者の要望を満たすコース造りなどを考えた方がいいだろうし、

コース使用者側も、なるべくなら積極的にコースを楽しくするための工夫や協力などもしたほうがいいと思いますね。


じゃないと、「車だけクロカン仕様にしても走る処がない」という本末転倒な事態にも陥りかねない。

実際、そのような地域も日本全国で広がりつつあると思うので、有料コースを近所で持っている処はそこを失わないように協力するとか、

ない地域なら、有料コースを作る協力などをしてもらえたらと思っています。

2012年10月23日火曜日

雨の日のクロカンテクニック


雨の日のクロカンテクニック

本来なら、グランドアンカーの記事を書きたいと思っているのですが、今日は雨が降っているってこともあるのと、画像がないので、今回は前々からまとめたいと思っていた雨の日のクロカンテクニックについてお話したいと思います。








■雨の日は全く別

僕は以前から、「雨が降ったら走りに行こう」って思うことが多くあります。

理由はカンタンで、同じ場所を走っていても雨の日は晴れの日と全く違うからです。


僕がこういう風に思うのは、「岡山」の風土にもかなり影響を受けていると思います。

なんせ、岡山県南部は、香川県と並んで日本全国で最も晴れの日が多いことで知られているからです。


ちなみに岡山県のキャッチコピーに「晴れの国 岡山」ってのがあります。


ということで、岡山県の南部に住んでいると、自然と雨の日の経験値は少なくなるのです。

それに追い討ちをかけるのが、走ることが出来るポイントの地質の問題。

岡山県の東部や兵庫県の方面に走りに行くと、石灰質の場所が増えてきたり、北部に行くと、甲子園の土でも知られている「真っ黒な火山灰」が増えてくるので、雨の日はビックリするほどグリップしなくなるのですが、

岡山市内唯一のコースのスポーツランド岡山や、以前は走れた神石、広島県のテージャスランチ、広島市のタマダなどは基本的にマサ土なので、雨の日も他の地質と比べたらそれほど極端に走りにくくならないんです。

ちなみに神石というのはこんな場所

その1
その2

見事なマサ土ですね(^^


マサ土の特徴としては、晴れていたらほぼ最強のグリップ力を発揮してくれるということは間違いないのですが、雨の日、泥状になったとしてもそれほど重くならないとか、タイヤの溝に詰まった泥のハケが元々かなり良いなどというものがあります。

ちなみに英語で「Buckshot」(バックショット)のことをショットガンの玉の中でも大粒の散弾(鹿玉)のことを言いますが、四駆用語ではタイヤで吹き飛ばした泥の塊のことをいいます。


マサ土は雨の日も、他の土質や岩などが露出している地形と比べたら比較的グリップ力もトラクションも発揮させやすいのだが、それでも舐めてかかると自殺行為になります。


以前、CCV誌でジオランダーのことを「あれはオールテレーンだ」と評したことがあったが、確かに雨の日に履いているのを観ていると、トラクション、グリップともにかなり不足していることに気が付く。

「雨の日」は、晴れの日とは全く違うので、走り慣れている場所ではなんでもないことが、雨が振った途端に全く出来なくなったり、危険度が急に跳ね上がることも珍しくない。

だから、雨の日に走るのであれば、タイヤも含めて装備など全て万全の準備をすることから始めないといけないと思っています。




■雨の日:運転面での違い(ヒルクライム)

ディーゼルの重量級の四輪駆動車の場合、グリップの良い日は基本的にクローリング中心だと思っているのですが、雨の日になるとクローリングにこだわっていたのではお話にならないことが多くあります。

ですので、難所を走る場合は基本的にローセコ(Lowレンジと2速)を多用し、タイヤをぶん回すような使い方をすることになります。

雨の日のグリップ力の低下や、トラクションの低下は、車の重量がより重い方が顕著になります。

私のクロカンは自走力に頼らないので、実際のところあまり問題はないのですが、重量物(レスキュー用品)を大量に載せすぎると、晴れの日以上に、雨の日はトラクション不足などに悩まされることになります。


走り方ですが、私は特に雨の日は一回で走破させることにはコダワリません。

最初は、ローロー(Lowレンジと1速)でゆるゆると這わせておいて、少しずつ前進距離を伸ばしていく・・・という走らせ方をします。

例えば、全長20mほどのヒルクライムの場合は、最初のアタックでは3m、次は4m、その次は5m・・・という風に少しずつ到達距離を伸ばしていくわけです。

当然、登った分は必ずバックダウンしなければいけないため、重要度というか注意点は「バックダウンするとき」ということになります。


最近の雨の日のクロカンで言うと9月30日のスポーツランド岡山でのクロカンがありましたが、例えばこのシーン、皆さんはどう思いましたか?



実はこの数台前、SJ30がこのヒルクライムでリアタイヤが足払いをされて転倒しているのですが、


重心の低いSJ30でも転倒する可能性のあるヒルクライムです。


雨の日、なぜ怖いのかというと、普段なら完全グリップで降りてこれる処もグリップが全く効かないので、勢いがついてバックしてしまうため、晴れの日ならな んでもないギャップや段差でもこのように引っかかったり、派手に落ち込み、足払いを受けたみたいになり「コロリ」といくことが多いからですね。

ですので、僕がこの斜面を登るのであれば、このギャップがあるところまでなら何度でも安心して攻めますし、バックダウンもします。

ですが、このギャップがあるところを境に、上では絶対舐めた走らせ方はしませんね。


以前のブログでも書いたことがあるのですが、僕が運転しているとするなら、坂の上でたとえ車が止まっていたとしても、絶対車を斜面の途中、(しかもこのギャップがある上)で止めたりはしませんね。

ですので、以前のブログでも「オカマを掘ってもいいくらいのつもりで登りきれ」って言っているわけです。

重量車の場合、転倒で被る被害は軽量車の比じゃないですから。

慎重になるのは当然です。

(これはおそらくですが、僕の車なら溝の底にタイヤを落とすラインでバックダウンしてもコケないと思いますけどネ)


Jr.の動画を見てもわかりますが、上までクローリングで登れていたとしても、再発進ではまったく進めなくなる、ということが度々起こるのが「雨の日のヒルクライム」の怖いところです。


■グリップ力とトラクションの違いを理解しておこう

雨の日なら、さきほど登場した小さな溝でも十分過ぎるほど遊べますね。

まだ、このヒルクライムは難易度が低いですが、激しい場所になると上から下までこれくらいの段差の溝が延々続くヒルクライムなども珍しくありません。

そういう場合は、車高を上げ過ぎていない僕のような車はバックダウンも比較的同系車種を相手にした場合、有利になることがあります。

雨の日は、圧倒的にタイヤの優劣が出易いことは多くの方が体験済みだと思います。

晴れの日は、極端な話、スリックタイヤですら走れます。

しかし、雨の日は路面の泥をハネ飛ばしたり、路面にタイヤの突起物やブロックを積極的に突き立てることでトラクションやグリップ力を発生させるので、タイヤのパターンや溝の深さなどが非常に重要となってきます。


余談かもしれませんが、「グリップ」と「トラクション」の違いを説明しておきます。

グリップ力とはタイヤが地面に接地する際、滑らずにグリップを維持できる限界の動摩擦抵抗力のことを言うのですが、

トラクションというのは、車輪が路面に対して発生させる、牽引(駆動)力 すべてのことを言います。

つまり、「グリップ力」×「タイヤの回転数」=「トラクション」といえるのかもしれませんね。

(間違ってたらゴメンなさい)

ただ、これが単純にこの計算式で説明できないのが「泥ハケの性能によるトラクションの違い」ですね。


たとえばマッテレや、先ほども言ったジオランダーのようにシーランド比が低い(溝の面積が狭い)タイヤは、泥ハケに問題があることが多いので、グルッと一 周タイヤを回してきても、相変わらずタイヤの溝の中に泥が残っていることが多く、急激にグリップ力を失い、それに伴いトラクションも減少する・・・という 現象が起こります。


それに対して、スーパースワンパーなど「トラクションタイヤ」と呼ばれているタイヤは、泥ハケを優先して設計されたものは、グルッとタイヤを一周させると溝の中の泥がすべて排出されて次に地面に接地する際には「まっさらな状態」になっていることが多い。



特にトレッドの中央付近に近い部分のシーランド比が高いタイヤの方が、接地したトレッド全面に比較的にまんべんなく圧力がかかります。

「トラクションタイヤ」と同じククリで呼ばれているジープサービスの性能がイマイチなのは、このトレッド面の中央付近のシーランド比がやや低いからです。



本来なら、大きな溝が多いタイヤの側面に強い圧力をかけねばならないのが、タイヤの中央付近に大きな溝がないため、タイヤの中央部の泥ハケがほとんどな く、中央部の面積が増えるため、効果的にタイヤ全体に圧力を分散できないため、「トラクションタイヤ」と言うにはやや物足りない性能になってしまっている わけです。


性能としてはふた昔前のジープサービスを語っても仕方がないので、話を元に戻しますが、雨の日のクロカンは「グリップ力をいかにして得るか」ということと、「トラクションをいかにして稼ぐか」ということを考える必要があります。


■雨の日ならではの走り方

たとえば、雨の日ならではの走り方としてはこんなものがあります。

最初から積極的にタイヤを空転させ、路面に残った泥を排除させることを狙い、2度目の走りで一気に通過させるような走らせ方。

これはヒルクライムなどで比較的多く使います。

ただ、ひとつ注意せねばならないのが、「登れないポイントで余計に掘り返さない事」です。

泥を跳ね飛ばすからだ、と言っても、それは次走る際に、坂の途中でもトラクションをなるべく多く稼ぐためなので、肝心な所で自分のタイヤで大きな段差を作ってしまうとそれが原因で登れなくなることも多いのです。

ですので、坂の途中では比較的、派手にタイヤを空転させながら前進させるのですが、肝心なポイントまで登ってきたらアクセルをオフにしてタイヤと車は慣性だけで当てるのです。

上級者になると上手に当てることで、残った段差などをタイヤでならしながら次に進む時のために耕しておいたり、

何度も前後に車を往復させながら、段差があるところなどで敢えてタイヤを空転させ、ギャップをなだらかにして次のアタックに備えることもありますね。


これなどはスノーアタックなどで比較的一般的に使われている手で、トラクションの悪いリーフ車などでフルアクセルで車を前進させようとすると、ホーシングがジャダーを起こすことで、路面を凸凹にさせやすい。

そこで、次のアタックに備え、わざと凸凹になった路面の上を前後に往復させることでなるべく平にならして、次に走るときに加速させやすくする。


後、雨の日に限らずかもしれないが、タイヤの向きを車に対して真っ直ぐにさせるだけでより多くのトラクションが稼げることが珍しくない。

泥の中や、ぬかるんだ斜面を走っているとき、ステアリングを右か左に切った状態であがいている人が、

タイヤの向きを真っ直ぐにしてやり、アクセル操作に集中した途端に前進出来るようになることは珍しくない。

要するに、タイヤはどちらかに切っているだけで車が動く抵抗になっているのだ。

「ステアリングは真っ直ぐにさせている方が車は前進させ易い」ということは、非常にいろんなシーンで活きてくるので必ず頭の片隅に入れて走った方がいいだろう。

(もちろん、牽引時もタイヤの向きが真正面を向いていた方が少ない牽引力で牽引出来る)


よくトラクションタイヤを履いている人に見かけることに、タイヤのショルダーを効かせようとしているのだろうが、やたらとステアリングを左右に高速に振り回す人がいます。

ソーイングと言われる技で一応、効果はあるのですが、路面を荒らしたり、再現性や確実性があまりない技なので、僕はあまり好きじゃありませんね。


僕はそんな不確実な技を使うよりは、走る度に、その次に走った際に有利になるような布石が打てる走らせ方をする方が好きですね。


あと、雨の日ならではの走りで、かなり上級者向けの技に「ムーンウォーク」と呼んでいる技があります。


■上級者向けの高等テクニック「ムーンウォーク」

これは、正直ここで公開してもいいのか迷う技ではあるのですが、敢えて公開しちゃいましょう。

これは知らずに勝手に使っていることがあると思うのですが、車は後退しているのだが、タイヤは逆に前転している・・・という状況がありますよね。

溝が深いヒルクライムなどで対角線にタイヤが浮きながらバックするときや、路面のミューが極端に低い雪面や雨の日などのバックダウンでよく起こる現象です。

クロカンの基本では、バックダウンするときはバックギアに入れて、タイヤを回しながらバックすること、と教えられると思うのですが、

タイヤをわざとバックダウン中に前転させることで、後退する速度を落とすというかなりの”荒業”です。

これには本当に多くの注意点があり、特に下がった先に障害物があったり、急にグリップが回復されるポイントに差し掛かった際などには、ドライブシャフトやデフなどの駆動系を破損させる恐れがあります。

MT車の場合、「やばい」と思ったらクラッチを切り、駆動を切って路面からの逆向きのトルクと駆動系から伝わる正方向のトルクがぶつからないようにすることは出来るのですが、当然完全に遮断するにはタイムラグが発生することがありますし、

AT車のようにニュートラルに入れても実際にニュートラルになるまではサーボの動作までタイムラグがあるので「やばい」と思った瞬間に操作をしても、もう遅いってことが多いと知っておいた方がいいだろうと思います。

つまり、このムーンウォークという技を使う際には、予め走っている地形を熟知しておき、タイヤが引っかかってしまう前には駆動を切るか、逆にギアをリバースに入れる必要があるわけだ。


■雨の日の走りは、晴れの日の練習の総決算

雨の日の走りは、本当にしっかりとした下見や、走行プラン、繊細な操作、不測の事態が起こった際の反射的なリカバリーなどが要求される。

さらにタイヤの選択、装備の選択、それからそれら装備品などを正しく使いこなせるスキルなども必要となってくる。

もっと細かいところで言うと、雨の日は足元が極めて悪いので靴の選択や、アクセルペダルやブレーキペダル、クラッチペダルが泥で滑らないように細工をしておくとか、ステアリングホイールなども滑らないように工夫をしておいた方が良い場合が多い。

車の操作や装備は雨の日ならではの物も多いが、基本的に雨の日の走りというのは晴れの日、どれだけ濃密な走り込みをしているかどうかで大きく安定性や走破性、できることの可能性が変わってくると思っている。


「晴れの国」に住んでいると、どうしても雨の日に稼げる経験値は稼ぎにくいものなのだが、雨の日は積極的に走りに出てはいかがだろうか?




■おまけ

これにはちょっと笑わせてもらいました(笑

超・初心者向けクロカン上達法


超・初心者向けクロカン上達法

先日、心ならずもクロカン初心者に教える機会があったので、ちょっと記事にしたいと思います。

まずここでいう「初心者」とは、一般道は普通に運転出来るのだが、オフロードではほとんど運転経験のない人、ということにしておいてください。

僕が教えることが出来るのはあくまでもディーゼル車で、マニュアルミッションに限られます。

ただ、「スタック時の対応」については全車種共通なので、予めご容赦願います。


■教えると言っても・・・

僕が教えるのはあくまでも「練習方法」と「スタック時などの対応」だけです。

ないのは「スタック時などでのアドバイスや誘導」ですね。


スタックと言っても、完全にハマりこんでしまうようなヘビーなものではなく、ちょっと障害物を通過出来ないなぁとか、溝を超えれないなぁと小停止してしまうような小さなものまで含まれています。


流儀やそのグループなどのしきたりみたいなものもあるので、特定の団体などを悪く言うつもりはないのですが、

僕としては「そこは右だ!」とか「このラインを通れ」みたいに誘導することはしたくありません。


先日、アイアンバールカップの話などもしましたが、僕はあの競技の全てに心酔していたってわけではなく、「イマイチ自分たちの流儀に合わないんだよな」って思っていたのが、「バディ」の存在です。つまり二人一組という規定です。

運営上、スムーズに進行させねばならないなどの理由があったのかもしれませんが、普段の自分たちのクロカンに「バディ」はいません。


よほどのことがない限り、自分一人でほとんど全てをこなしますし、他人に手も貸してもらわないですし、ましてやアドバイスなんて聞く耳を持たないので、

僕がハマってジタバタしているとき、何も知らない人が横から「ああしろ、こうしろ」ってアドバイスしてくれたり、「手を貸しましょうか?」などという申し出を受けても綺麗に受け流していました(笑)。


僕のブログをここまで読まれている方はなんとなくご存知かもしれませんが、僕が現場でアドバイスしないのは、「アドバイスされる側は、アドバイスされてもちっとも腕が磨かれることがないから」です。

ですので、先日の初心者向けの講習会で、モーグルが抜けれずに困っている顔をしている人がいたとしても、

「なんで車が前に進まないかわかる?」って聞いて、「分からない」と言ったら、「ほんじゃ、車から降りて状況を確認しましょう」って言わせていただきました。



■自分の目で見て確認し考えて初めて上達する

よく他の団体などがクロカンしている動画などをYouTubeなどで見ていると「そこは右だ!」とか「その段を上がったら左だ!」などと誘導している風景をよく見ます。

・・・で、よく思うのですがアレって何かあったとき大丈夫なの?ってことなんですよね。

まぁ、それはそこ、日本人同士なので誘導したことが原因で何か事故などが起こったとしても問題が起こることはほとんどないとは思うのですが、

最近は目に見えない反日勢力がやたらと増えてきているので、今までみたいになあなあだと怖いなぁと思うようになりました。

実際、僕のビジネスの現場でも友人の中には極めて悪質なトラブルに巻き込まれるケースが激増しているので、それが趣味の世界にまで及んできた場合、非常に怖いと思ってます。

例えばですが、ヒルクライム中に誰かを誘導していたとして、ドライバーが操作を誤り、そのまま坂を転げ落ちて車は大破、ドライバーは死亡。残された家族がヒルクライム中に誘導していた人を損害賠償請求で訴える・・・ということも十分に考えられることなのです。


ここまで極端なケースじゃないとしても、クロカン時に外部からの誘導っていうのを無条件に鵜呑みにして信じるのは危険過ぎるというか、自分の身を守るのに無責任過ぎると思っています。


「クロカンは大人の遊びだ」とか「クロカンの基本は単独行」と言っているのも、クロカンの現場で何かやらかしたとしても、責任を取るのは自分自身だし、誰かに責任に擦り付けるようなものではないからです。

(以前、”オシメの取れた大人のクロカン乗りになろう”って言われてた方が昔おられましたね)


このような「責任の所在」のような問題だけでなく、「クロカン乗りとしての腕を磨く」ということを少しでも考えてあげるのであれば、僕は「外部からの誘導」や「アドバイス」は不要だし、かえって邪魔だと思っています。



■自分の頭で考えてもらうのが基本

旧日本帝国海軍、連合艦隊司令長官の山本五十六の言葉に、

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」

というものがあります。


これはいかにして部下にやる気をもたせ、指導していき、スキルを伸ばしていくのかを端的に表した言葉として有名なのですが、”クロカン”の現場には上司も 部下もありませんし、皆、”自分で自分のことは責任がとれる社会人”(そういや一部違うのがいるなぁ)というククリなので、基本的に上下関係もないと僕は 思っています。


だから、「指導してやる」って考え方は間違っていると思うし、「やる気がない人をやる気にさせる」必要もないわけです。(クロカンを辞めたければ勝手にやめればいいだけ)


■「やってみせる」重要性

この言葉でまず使えるのは「やってみせる」という点です。

例えば、自分もそこに車を持ち込んでいて、先行しているのであれば見本を見せることはできますよね。

アイドリングのクローリング程度で通過出来る地形なら、自分がまず見本でキッチリやってみせ、後からくる車にも同じようなライン取りが出来るかやらせてみればいいでしょう。

僕が「改造し過ぎない方がいい」というのも、こういうときに自分の車の戦闘力が高すぎると、後からくる人が最初から思考停止してしまったり、戦闘意欲が消滅してしまうからです。


それから、たとえ一発で通過出来ないとしても、それは全く問題ありません。

というのも、僕はトライアル的な走りが必ずしもクロカンに最適な走り方だとは思っていないので、一発できれいに走り抜けることにあまり意味や価値を感じてないからです。

後から付いてくる人に見せるべきは、どちらかというとこちらの姿勢というか行動ですね。

地形の情報がイマイチ掴めていないのであれば、車から降りて地形や車の状況を確認してみます。

それからパッと走行プランを考え、出来れば後ろの人に「こういう風に走る」というのを宣言してみるといいでしょう。

このように観察(インスペクション)を行う方法以外にも、数回、地形に車を当てながら地形を探り、少しずつ前進距離を伸ばしつつ最終的に走破(引破)させるという方法を取ることもあります。

初心者のうちは、特にこの「何度か走りながら少しずつライン補正をしていく」という技が未熟なことが多いので、その見本を見せてあげるわけですね。



■ライン補正でよく使う技

これは余談かもしれませんが、ライン補正でよく使う技を少し説明します。

まず、フロントタイヤを横方向に動かしたい場合ですが、これは前後に30cmも動かすことが可能なら簡単に行うことが出来ます。



0:15~0:45くらいの間に使っている技ですが、このような感じに据え切りを極力使わず車の向きをわずかな前後の動きで変えていくことが可能です。

なぜこんな技を身につける必要があるのか?ですが、これはすかさずクロカンの現場で非常によく使う技術だからです。

具体的に言うと、バックする余裕がほとんどない処で止まってしまって再発進しなければいけないときなど、この技を使いこなせない人は慌てふためきめちゃく ちゃな操作をしてしまい、逆に状況を悪化させたり、後ろの木にブチ当てたり、谷に落としてしまい転倒・・・みたいなことも非常に多くあるのです。

そこで普段から、動画のような非常にカンタンな地形で練習しておくわけですね。


この技のもうひとついい処は、「1つ1つの穴ボコやオブスタクルをクリアしていく楽しみ」が味わえるからですね。

たとえば、ここなどはスポラン岡山の林間コースの1つですが、



この日などはグリップが良いので勢いつけてバ~っと走ってしまえばラクに登る処を、わざわざオープンデフでしかも極力エンジン回転数を落とし、速度もなるべく抑えて登らせているのです。

これはJr.の動画ですが、一発で走破させることにコダワリはないので僕と同じようにわざと走り難いラインなどを選んで走ってますね。


ラインには3つの種類があります。

1つは、「絶対走破出来ないライン」

2つは、「確実に走破出来るライン」

そして3つは、「走破出来るかどうか微妙なライン」

この3つ目のラインを選んで遊べるようになると、クロカンは急に面白くなると思います。

それからもうひとつ言っておかねばならないのが、「バックしつつ、狙ったラインにタイヤを乗せる」という操作方法を練習する機会が、これらの走り方では非常に練習し易いからです。

坂を下から登りながらだと登れないラインも、一度別のラインで登れるところまで登り、荷重をかけながらバックすることで、狙ったポイントにタイヤを持ってくる操作をすることがよくあります。

この操作が、トライアルなど「バック厳禁」という競技をされている方が苦手としている技ですね(なんせ普段の練習で”バックしない”ですから)

バックするからこそ、クロカンの幅は広がることがあるってことは、せめて普段の練習時くらいには覚えておいてもいいんじゃないかと思いますね。

あと、「据え切りも極力させない」というためにも前後に車を動かす操作は重要になってきます。

フロントが坂の上を向いている状況ならそれほど神経質になる心配はありませんが、

フロントが坂の下に向いている状態や、フロントタイヤが溝の底に落ちている状態などでの据え切りは厳禁です。

フロントタイヤに荷重が掛かっている状態でステアリングを切るということは、タイヤの損耗など比べ物にならないほどフロントデフ、ドライブシャフト、キングピンベアリング、操舵系のロッドやジョイント、ステアリングギアボックス、パワステポンプなどに負担をかける。

僕も一度、某山の坊主V字と呼ばれているポイントでステアリングのジョイントが外れビックリしたことがあった。

その時から「絶対山で据え切りはしないようにしよう」と思ったものだ。(この時は単独行だったが応急処置して自走で帰り、次の日はちゃんと仕事にも行った)


何度も言っているが、クロカンでは自走で帰ることが目的のはずだし、壊しに来ているわけじゃないはずなので、車を労わりながら走る操作はなるべく早いうちに学んだ方がいいだろうと思っている。

先日も言ったが、車を壊さずに(傷めずに)走れる技能が身に付けば、その分、メンテの量も少なくすることが出来るわけだし、有料コースのコース使用料なども払いやすくなるでしょう。



■「させてみる」重要性

ちょっと脱線してしまったので元に戻しますね。

先ほどは、自分が先行して後続に走りを見せる場合の話をしましたが、今度は実際に初心者などに走ってもらう際のお話をします。

先ほどの山本五十六の言葉で使えると思うのは「させてみて」という点です。

スタックして脱出させる時も、外部からやぁやぁ言うのではなく、ハメた当人に状況確認させる、つまり「させてみる」。

そこからの脱出プランも自分で立てさせてみる、つまり「させてみる」。


スタックには至らないのだが、なかなかポイントを通過出来ないときも、一旦車から降りて、自分の目で地形を確認させ、自分の頭で走行プランを立てさせ、そして実行させ、そのプラン通りに通過出来たかを検証させる。

俗に言うところの「PDCAサイクル」というヤツですが、これをキッチリとやってもらうわけです。




極論してしまえば、要はこれだけですが、自分自身が走る場合も、このPDCAサークルをキッチリ回せる人と回せない人とでは(特に時間を経ると)大きな差となって現れてきます。

僕も、もう20年近くもクロカンをしていると、随分昔から走っているわりに、ちっとも走りが進歩してないって人を多く見かけることがあります。

まあ、クロカンはプロスポーツじゃないですし、金儲けの手段でも何でもないので、それぞれの方がそれぞれ楽しみたいことだけしてればそれでいいのですが、

僕としてはクロカンするなら、どうせなら上手くなりたいというただその一点のみが目的なので、他人の走りもやっぱりそういう視点で見てしまうんですね。



初心者向け練習メニュー

先程、「ディーゼル車でマニュアル車のことしかわからない」と言いましたが、最近はAT車しかラインナップにない車も多くありますし、

たまたま手に入れた車がAT車だった(僕も最初はそう)ってこともあるので、本来ならATの練習法も書かねばならないのですが、ひとまず最初はMT車の練習法からお伝えしたいと思います。

まず、ディーゼル車とガソリン車の違いですが、(極めて古いガソリン車などでは別かもしれませんが)圧倒的に「粘る」のがディーゼルエンジンの特徴です。

ですので、ディーゼル車の練習に混じってJA11などの小排気量ガソリン車でギア比もSJ30のファーなどを入れている程度のジムニーなどではすぐクラッチから煙を吹き上げてしまうことも(汗)

ということで、ここではジムニーのお話はしてませんのでご容赦を(笑)


・初心者にしてもらう練習その1:エンジンを粘らせる練習

僕の場合、コースに入ってもらう前に練習してもらうことがあります。

それが、「エンジンを極限まで粘らせる練習」です。

これについては先日書いた記事にも少し載せてますので、そちらもぜひご覧ください。

「エンジンを粘らせること」をまず練習してもらうのは、実際にコースなどに入った際に、アクセルペダルを踏みすぎることによるトラクションのロスを抑えることもありますが、踏みすぎによる転倒や車両の破壊を抑える効果を考えてのことです。

車が壊れる際、もっとも多いのが「アクセルを踏んだ状態」ですよね。

つまり、アクセルを踏まなければほとんど車は壊れることはないってわけです。

ただ、当たり前の話ですがアクセルペダルを踏まなければ車は前進しませんし、クロカンそのものが成立しないので、最終的には踏むこと(アクセルワーク)も覚えなければいけませんが、

クロカンのアクセルワークというのは、僕が思うには優先順位はかなり後の方なので、最初から学ぶ必要はないんですね。

また、ディーゼル車でそこそこのギア比の車ならかなりの地形まで本当にアイドリングのままだけでクローリングで通過させることが可能です。

僕に言わせると、初心者のうちはアクセルペダルを踏む必要はないですし、踏むのは1日早い(笑)なので、先にエンジンを粘らせることを覚えた方が役に立つことが多いのです。

ちなみにエンジンを粘らせる練習は全くの平地から始めてもらって結構です。

クラッチを繋げたままで、ブレーキを踏むことで簡単にエンスト付近まで回転数を落とすことが出来るので平地でOKです。

次に、ほんの少しの段差を登らせてみましょう。

段差としてはこれくらいあれば十分過ぎるほどです。



この半分の高さでもいいので、なるべくアクセルペダルを踏まずに通過してみてください。

それができたら、今度は少しだけブレーキペダルを踏んでみて・・それが出来たらちょっとだけ強めにブレーキペダルを踏んでみて・・この繰り返しで、いつでもエンジン回転の最低のラインを引き出せるようにしておきましょう。

エンジン回転がエンスト寸前まで落ちた際、エンジンが「ガタガタ」と派手に揺れることがあります。

その揺れが脚回りを通してタイヤにも伝わるのですが、実はコレが良い働きをしてくれることがあり、絶妙なグリップを生み出すことがあるのです。

この極めて回転数が遅く、回転速度が極めて不定速な状態が実はMT車の最大のメリットだと僕は思っています。

AT車でも、似たタイヤの動きはポンピングブレーキで多少は真似出来るかもしれませんが、それだとタッピング(軽くポンポン叩く操作)ブレーキと変わらないので、駆動系などに負担をかけるので特に素人に教えるのは怖い技なんですよね。

ですので、ブレーキチョーキングなどのデフの差動をブレーキで殺す技というのはある程度クロカン出来るようになってから教えるようにしています。

(先日のクロカン初心者講習会でも教えませんでした)


あと、エンジンを粘らせる練習をする上で避けられないものに「エンスト」があります。

ですが、僕はクロカンをする上でエンストして何が悪いの?ってスタンスでいます。

エンストするということは積極的にエンジン回転の一番美味しい処を使おうとしていたという証みたいなものですし、エンストしたから下手くそとは思っていません。

(これが大排気量大トルクディーゼルエンジン+極低速ギア比の車だと話は別かもしれませんが・・)

たとえ坂の途中でエンストしたからといっても、再発進時のアクセル&クラッチワークに気をつけて、極力ゆっくりタイヤを廻して発進することさえ覚えてしまえばそれほど実害はないからです。(逆に楽しみが増えるくらいか?)

ちなみにですが、「どうしても後ろに下がれない」って場合は、セルスタートという方法があります。

これはクラッチを繋いだままエンジンをスタートさせ、バッテリーとセルモーターの回転力だけで車を前進させるという禁断の方法です。

ただ、この方法はフライホイールなども含め、極めて車にはよくないことなので「こういう技術があるのだ」くらいに思っておいてもらって結構だと思います。

(実際僕が過去に使ったのは、数センチ後退したら転倒しそうだった崖の上で一度使っただけだ)


・初心者にしてもらう練習その2:ステアリング操作

オンロードでのステアリング操作と、オフロードでのステアリング操作はかなり異なります。

まず、ハンドルは基本的に(MT車だとしても)左右の手でステアリングを握ること。

この時、親指は絶対巻き込まず、伸ばしたままにしておきます。

これはなぜかというと、重ステの車ならより顕著なのですが、地形からのキックバックでハンドルが強制的に廻された場合などに、ハンドルのスポークに親指が当たり、下手をすると骨折することが起こるからです。

また、クロカン走行時には基本的に腕はクロスさせません。

これも理由は同じく、強烈なキックバックから腕を保護するためですが、クロスさせる操作はステアリング操作をかなり遅くさせるという理由もあります。

そのように書くと中には、「ハンドルを何周も急いで回さないといけない時、それじゃ対応出来ないじゃないか!」って思う人がおられるかもしれませんが、

ディーゼルの四駆でそのようなハンドル操作をしないといけないってことは単純にスピードの出しすぎなんです!!

「ステアリング操作が追いつかない」⇒「車の速度の出し過ぎ」⇒「ディーゼル車乗りとしては下手くそな証拠」

このことはしっかり覚えておいた方がいいと思います。


ステアリング操作は基本的に右手は1時の方向から5時の方向までの間。

左手はその反対に、11時の方向から7時までの間で行います。

横から見ていると右手が上下にしか動いてないので最初は奇妙な動きに見えるかもしれませんね。

ですが、ステアリングというのはほぼ唯一、車と運転手を直接つないでいる物ですので雑に扱わないようにしてください。


・初心者にしてもらう練習その3:ブレーキングの練習

これは一部、エンジンを粘らせる練習にもつながるのですが、僕が思うにクロカンで一番習得が難しいのはアクセル操作でもクラッチ操作でもステアリング操作でもなく、「ブレーキ操作」です。

なぜブレーキ操作が一番難しいのか?というと、ヒルダウン時などはこのブレーキ操作が上手な人と下手は人とで大きな差となって現れますし、上級者(と自分 で思っているであろう人)の中でも、明らかにブレーキングの練習などしたことがないって人も珍しくないほどこれまで脚光を浴びてこなかったスキルだからで す。


ブレーキ操作はまず、ほんのちょっとの段差を下ることから始めてみましょう。

まずはクラッチは切断したまま、なるべく一定の速度で降ります。

次に、同じ地形を下るのですが、今度は「可能な限り速度を落として降ってみてください」。

これはやってみるとわかりますが、かなりギクシャクしたブレーキングになってしまいます。

構造上の問題もあるので必ずしもジワ~ッと降りれるというわけではないのですが(特にFブレーキがドラムの三菱ジープなどは)、なるべくギクシャクした動きをせずに坂を下ることはクロカンの現場で非常に役に立つのでぜひ習得してください。

超・繊細なブレーキ操作を覚えると、まずはブレーキチョーキングなどブレーキを使ったデフの制動の技が上手くなります。

次にこれが特に重要なのですが「ヒルダウン」が圧倒的に上手くなります。

ヒルダウンなどをしていてよくあるのがこのように大きな段差をポテッと下るようなシチュエーションですが、ブレーキングの練習をしているとこれくらいの操作は可能になってきます。



この動画のJr.のヒルダウンですが、段差のギリギリ限界まで可能な限り速度を落とし、グリップする限界までグリップを拾って、最後はソフトランディングさせているのがわかると思います。

当日の動画に同じ地形を走っている同型車種もおられるので、違いがどれくらいあるかを見比べてみてください(笑)。


このように、ヒルダウンが上手くなっていくと、当然のことながらボディを痛めたり操舵系やサスペンションにダメージを負うことが少なくなっていきます。

これはかなり大きな段差なので降りた際にリアサスが派手に浮いてますが、ここまで大きな段差で最初から練習する必要はないので、タイヤ半個分程度の段差でもいいですし、傾斜が20度程度の緩い坂などを利用して反復練習をしてみてください。


・初心者にしてもらう練習その4:軽いキャンバー走行の練習

クロカン初心者のうちは、わずか20度ほど車が傾いただけでビビってしまうとか、30度くらいの斜面を登っていても「空しか見えなかった!」と言っているのを聞くことがありますが、

そういうのを聞くと「あぁ、自分もそういう時期があったかもなぁ」って思いますね。
(^^;


ですが、20度程度傾くというのは本当にクロカンの現場では日常茶飯事ですし、傾けながらではないと攻めれないラインなどもあるので、初心者のうちからある程度は傾きに対して免疫をつけてから走った方がいいと思います。

難所で思考停止してしまうと、大事故や大損害につながりますからね。


「キャンバーってどこにあるの?」って思われる方は多いかもしれませんが、これは探せば本当に沢山あります。

スポーツランド岡山に来られたことがある方なら分かると思いますが、広場内だけでも、「広場入口正面の斜面」、「小山の斜面」、「キャンプ場入口右側の傾斜」、「岩場下の斜面」、「看板の下の斜面」の5つがあります。

斜度は20度~40度以上と結構バリエーションに富んでいるので、練習に事欠くことは全くありませんね。

スポーツランド岡山をご存知でない方も、探そうと思えばいくらでも存在します。

走っちゃいけませんが、川原の斜面などもキャンバーの代表格みたいな地形ですし、山の通路は路面が一段低くなっていることが多いので、高くなっている側の斜面をキャンバーに見立ててやれば、いくらでもキャンバーを見つけることは可能です。

(だからこそ、キャンバー走行を身につけると走るポイントが劇的に増える)


キャンバー走行の注意点としてはとにかく「無理をしない」ということ。

そういえばJr.が40度傾けて喜んでいた記事をアップしてましたが、あれはコカす前兆ですね(汗)。

車には、本当に沢山の転倒パターンがあるのですが、それら全てが理解できていないうちから限界付近までやってしまうということは、そのうち必ずやらかすってことですから。

ですから、初心者のうちは無理せず、安全マージンを20%から30%は取っておくべきだと思いますね。

(車の横方向への転倒限界が45度なら、傾けても35度程度で辞めておくという感じ)

僕がブレーキングの練習からさせるのも、なるべくフルバケットシートを早い段階で入れることを勧めるのも、この「キャンバー」を安全に走れるようになってもらいたいからです。

というのも、特に重量級のディーゼル車は、転倒時のダメージが半端ない場合が多く、僕は基本的にディーゼル車で転倒前提のような走りはしない方がいいと思っています。


キャンバー走行の練習はなるべく低速で行いましょう。

特に注意すべきは、荷重がより多くかかる谷側(下側)のフロントタイヤが通過するポイントです。

私の場合は、キャンバー走行時は最初からサイドブレーキをちょっと使い、速度を落とさせるようにして這っていることが多いのですが、急に「グラッ」っと車が傾く場合など、サイドブレーキを絞ってリアブレーキをタッピングしてやってもいいでしょう。
(これはランクルのみ。サファリには効きません)

山側のタイヤが浮くような地形は攻めないのが基本ですが、もし浮きそうな気がするのであれば、迷わず谷側にステアリングを切って、リカバリーしてください。

コカしたら本当になんにもならないですから。

キャンバー走行に慣れてくると、冷静に地形などの情報を汲み取りながら這うことが出来るようになってくると思いますので、焦らずに少しずつ、斜面の角度を上げていくといいと思います。


・初心者にしてもらう練習その5:バックダウンの練習

手頃な斜面を見つけてもらったら、今度はそこをローローで登ってもらい、頂上付近で一旦停止、次にバックギアに入れて同じラインをトレースしながらバックダウンしております。

これが出来るようになったら、今度はまっすぐ登るのではなく、斜めに登り、斜めに降ってみてください。

次に、同じ斜面を使い、まっすぐ登ったらバックダウンはクラッチを切ったまま真っ直ぐ降りてください。

その時は、ブレーキのみで速度調整をします。

それが出来るようになったら今度は斜めに登り、斜めに降ります。


よく、雑誌などでは「バックダウンはバックギアに入れてクラッチを繋げたままエンブレを効かせながら降りるんだ」みたいに言うものがあるのですが、

アレについて僕は非常に懐疑的で、実際のクロカンの現場ではクラッチを切ったままバックダウンすることや、バックダウンの最中で停止し、そこから再発進みたいなことも多いのでいちいちバックギアに入れると滑らかな操作の妨げになるんですよね。

それに、緩斜面でバックギアに入れてバックしたら、エンブレが効きすぎてつんのめっちゃったとか、急斜面ではバックギアに入れたものの、クラッチを繋ぐことはほとんどなく、ブレーキ操作だけで下っちゃったってことが結構あるからです。

バックダウンする際に、バックギアに入れておく必要は確かにあるのですが、転倒しそうになりリカバリーのためにアクセルを吹かさねばならない、というような状況になるのは基本的にスピードの出しすぎだということを覚えておいた方がいいでしょう。

ですので、「ブレーキングの練習」が先なわけですね。

何でもない斜面での練習が終わったら、今度はちょっとした溝のある斜面や、モーグル状の斜面などを利用して同じ練習をしてみましょう。



・・・ひとまずこれくらいが超・初心者向けの練習メニューと、スタック時などクロカン時の対応です。

実はここで書いている方法の多くはYouTube動画の中に残っているのですが、2012年の5月前半の動画の多くはJr.の練習の様子を撮っているので見てやってください。参考になるかもしれません。

ランクル70 屑鉄号’s channel



おまけ




こんなタイヤの修理方法があったんだ!とちょっとビックリ。

・・・岩場とかオンロード走っていてすっ飛んでいったスワンパーの爪を復活させたいな(w